第二百八話 アイドル大会編 その三十四


「……疲れた」

 

 自分の番が終わった雰囲気じゃねえ……。

 

「よくあんだけ話せたわね」

「途中まともに踊れてたかどうか分かんねえけどな」

「それより……吾の扱いが最近雑なのはどういう事だ?」

 

 お前の存在より私の存在の扱われ方が最近雑過ぎて困るわ……。

 

「初ちゃん、私は?」

「うん。良かったと思うよ」

「あ、ありがとう」

 

 赤面されると困る……。

 てかマジで和泉を一回常識人方向に戻したい。

 

「私は初さんに勝てていましたわ」

 

 ……どうでもええわ。

 

「初っち! 私は!?」

 

 ……。

 

「いやなんで無言なの!?」

 

 いや、お前の台詞が出てくるの久しぶり過ぎて……正直いたのって感じだったからな。

 

「私の扱いも酷くね!?」

 

 お前はまだ良いだろ!?

 私の恨み辛みは簡単に消えねえからな!?

 

「まあ作者にすら忘れられてたしね」

「本当に後で作者の顔面一発殴りてえ」

 

 次回からマジで江代を主人公にしようかなあ。By作者

 

「〇ァック!!」

「(てか書籍化したい気持ちはある癖に、こいつが一番下ネタとか下品な事するわよね)」

「(ふっ、全くだ)」

 

 言いにくい所だけ思考発声で済ますな!

 

「まあ終わったんだからさ、もう良いんじゃね?」

 

 こんなしまらねえ大会終了なんて見た事ねえ。

 

「ほら、次始まるみたいよ」

 

※※※

 

『最後のグループは、異世界からの参戦! 「Rhododendron」!!』

 

 やっと彼女らの出番らしい。

 他のグループは愚か、BandGirlsをも凌ぐオーラを感じさせながら、彼女らはステージに上がる。

 

『うおおおおおおおおおおおおおッ!』

 

 観客もそれを感じたようで、今までに見ないくらい歓声を上げていた。

 

「私達の時もあれくらい欲しかったわよね」

 

 こればっかりはオーラの問題だから仕方ない。

 

『私達は、五年後の世界で学生アイドルをしている……「Rhododendron」です!』

 

 お……正子が挨拶をやるのか。

 

「まあ普通寿奈なんだろうけど、今まで大して出てないキャラが喋ってもね……」

「そういう大人の事情を言わんでよろしい」

 

『私達の歌……聞いて下さい!』

 

 そのまま、彼女らのライブが始まった。

 

※※※

 

『~♪』

 

 オーラに違わず、彼女らの歌と踊りはどのグループよりも凄まじかった。

 流石は本気でやっている者達。

 一味も二味も違う。

 

『寿奈!』

『正子! 正子!』

 

 こんなコールもされるくらいなのだ。

 

「私も淀子って呼ばれたかったわね」

 

 同感だ。

 だが仕方ない。

 

 彼女らの曲はあっという間に終了し、全て終わった所でステージ上のライトが消えた。

 

『ライブ終了です! それでは投票タイムを始めます!』

 

 運命の瞬間が……やってきた。

 

「おえええええええええ……」

「いい加減にしろコラ!」

 

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