第百五十八話 二年一組 ~今から予定決まるまで、出られま10


 夏休み二日目。

 

「はい! 注目!!」

 

 私は今、眼鏡を掛けた作者と馬鹿姉妹、そして友人らと共に二年一組の教室にいる。

 部屋には時限爆弾の置物と鉄格子。劣化版ではあるが、完全に最近流行った某ドラマのパクリである。

 

「今から残り四十五ページ分を何とかする予定が立てられるまで……この教室にいてもらうから」

 

 こんなきっぱりメタい台詞言うのも久しぶりだな。

 

「どゆことだよ」

「ネタ尽きたから付き合え」

「いやだからって自分のキャラと相談するか普通」

「学生の頃、俺の夏休みって代り映えしなかったから、正直残り四十五ページもネタが思いつかない」

「どんだけ悲しい青春送ってたんだよ!」

 

 てか何故眼鏡……。

 

「菅田〇暉の真似」

「いや全然似てねえなおい……」

「うるへえ。ネタないから必死なんだいこっちは」

「もうネタない宣言やめろや」

 

 いや割とガチで。

 

「もし下らないネタだった場合、教室を爆破します」

 

姉さんは死なないけどな。

 

「あ、私内通者だからどうでも良いわ」

 

 学級委員みたいなノリで、黒板にタイトル書いてる……。

 

「じゃあ話し合いを始めようか。レッツシンクッ!!」

 

※※※

 

「夏休みねえ……」

 

 まさか人生で、夏休みの予定を死ぬ気で考える日が来るとは思ってなかった。

 

「アンタ無計画過ぎるからね」

「お前にだけは言われたくねえな」

 

 というかバイトと夏コミの日以外、夏休みで自発的に外出た事ねえし。

 

「だから貧乳が治んないのよ」

「関係ねえだろ!?」

 

 寧ろデブってでも良いから巨乳になりてえ。

 

「聞き捨てならないですわねえ」

 

 うわっ美咲いたのか。

 

「うわっ、とはなんですか? うわっ、とは」

「人の思考を簡単に読まないでくれるか?」

「まあこの世界じゃ、登場人物が地の分を簡単に読める仕組みになってるしな」

「そもそもそれがおかしいんだよ作者!」

「あ、因みに言うけど今回俺に暴力を振るった場合……お前らの頭の爆弾を爆破します」

 

 一気にGA〇TZと〇ャー研混ぜてきたな!

 

「可哀想な初博士」

「私はまだ死んでねえ! てかベランダの出口開けんな!」

 

 ホントに殺す気か……。

 

 

「てか話を戻すけど聞き捨てならないって?」

「そ、それは……」

「これの事ね」

 

 姉さんのスマホに映っているのは……。

 

「何そのネットとかのフリー素材として使われそうなビン眼鏡のデブ……いや、これはまだ痩せれば可愛いほう

「ああああああああああああああッ! 私の黒歴史い!」

 

 おめえかよ美咲。

 

※※※

 

「何が原因でああなったの~? おデブ眼鏡副会長~?」

「ぐぬぬ……。スイーツが美味しすぎて……つい……」

 

 作者が好きなゲームでいたなそんな奴。

 

「しかも主人公ねその子」

「終わって欲しくないなあ」

 

 まあサービス終了しても嫁が大事なのは分かる。

 

「俺はバ〇ガを救いたい!」

「アンタはまず小説を書きなさい」

「……はい」

 

「まてい! お前ら夏休みの予定決めないと!」

 

「あれ夏休みの予定決めしてたんだっけ」

「そうだよ」

「ふっ……忘れていたとはな。やはり魔力を持たぬ貴様らでは

「そういうお前は考えてたか? 厨二病」

「ふっ……残念ながら

「はい続けるか」

「どうしてだよぉお!!」

 

※※※

 

「取り敢えず逆ナン行かない? 初以外」

「あーそのネタは後々やるから却下」

「急に却下されたわよ」

 

 てか初以外って何だ?

 

「アンタはイケメンの先輩がいるでしょ? 自覚ないなら殺すわよ」

「まだ根に持ってやがった……」

 

 先輩佐〇勝利に似てるしなあ……これは仕方ないか。

 

「一応〇人くん派だけどね」

 

 知らねえよ。

 

※※※

 

「次のアイデアがある人~」

「はい」

「なんだ美咲」

 

 美咲か。何を言うつもりだ?

 

「浅井家抹殺合宿」

「私達は殺せ〇せーか何かか?」

 

 姉さんはともかく、私は違うぞ。

 

「暗殺は教室だけにしとけよ~!」

 

 似非菅田〇暉うぜえ。

 

「なんですって……。私とキャラが被ってる癖に偉そうなんですよ作者」

「いや一応この作品じゃ一番偉い人」

「別にそうでもないわよ」

「お前らに人を敬う心が無いから仕方ないな」

 

 何か一纏めにされたなあとで絞める。

 

「あ、頭の中の爆弾爆破させるぞ」

「ぐぬぬ……」

 

※※※

 

「次の案がある人~」

「はい」

「なんだ貧乳か」

「作者。せめて私の事くらい名前で呼ぼうな」

「そういや俺の親友の知り合いで、貧乳ってうったらヒロイン名が出てくる作家さんがいたんだよなぁ……。俺のスマホもそうする?」

「爆弾のスイッチ力づくで奪ってボコボコにするけどそれでも良いか?」

「その前に爆破してやる覚悟しろ」

「やってみろやゴラ」

 

「はあ……ダメねえ。似た者同士はこれだから」

「「誰が似た者同士だ!」」

 

「いやそのツッコミはおかしいわ」

 

 正解。

 

※※※

 

 午後七時四十五分。

 

「そろそろ時間です。思いつきましたか?」

 

 ダメだ思いつかねえ……。そもそもこれをリアルタイムで書いてるのゴールデンウィーク最終日だからな……?

 

「いや何で俺の思考を横取りしてんだよ」

「お前が出てくるせいでわけわかんなくなってんの! とっとと終わらせるぞこの話!」

 

 作者とシンクロしてると思うとイライラする(初とシンクロしてると思うとイライラする)。

 あ(あ)。

 考えるのをやめろ!(考えるのをやめろ!)

 ……(……)。

 

「「何だってんだよォッ!!」」

 

「取り敢えず、最初はプール行こうか」

「ふっ、賛成だ」

「それから花火ね」

「花火は幼子とやりたいな」

「逮捕するわよ」

「う~……」

「泣かないの」

 

 何だかんだで全部の話のネタが決まった。

 

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