第百四十七話 浅井三姉妹のSUITSな日常 その一
二人の弁護士がいる。
片方は平々凡々な珈琲好きの弁護士。
もう片方は身体能力が自慢のカツアゲ好きの弁護士。
そいつらが凄いのは、顔だけじゃない。
素行もだ。
二人は今日も、無茶苦茶コンビとして依頼をこなしていく。
※※※
「ねえ遠藤、新しい案件ない?」
「あの厨二代表が俺らみたいな弁護士に訴訟を任せると思うか? しかも俺の評価そこまで高くないからクライアントの人達からも依頼こねえし」
「弁護士なのに依頼ねえじゃーん♪」
「やばいよ」
何とかしねえと。
「あのさ、これもしかしたらこのまま終わるとかって展開じゃないわよね」
「淀子ちゃんが弁護士ごっこしたいとか言ったからあの機械使ったけど……何かこの時点で色々ダメな感じ出てるよ……」
「依頼が無いんじゃあねえ……」
「料理番組なのに料理ねえじゃーん♪ のノリだな」
「ってパクるなし」
「いけないのか~!? 某珈琲屋とか紅茶とかいちごのドリンクみたいなメニュー出してるのに、料理番組で服とか」
「てかアンタがボケないでよ。私がボケられない」
「暇なんだよ~」
「江代の所行ってこようか?」
「いいね~。依頼カツアゲしてきて」
「依頼をカツアゲするって何」
※※※
「依頼出しなさいよ」
碇司令みたいな江代に、淀子は言う。
「ふっ、残念だが貴様らに依頼を分けるわけにはいかん。貴様らの成績が低いのは、吾ら全員が承知している事だ」
「アンタが隠し持ってるショタの画像をバラまいて誹謗中傷するわよ」
「卑怯だぞ貴様!」
「早く依頼寄越しな」
「ぐぬぬ……」
※※※
「はい取ってきたわよ」
「おー早いな。因みにどんな依頼?」
「これは凄いわよ~。殺人事件」
「えっ、そりゃあ俺達には厳しいかもだけど」
「言うわね。セーター童貞殺人事件」
「……」
「……?」
「淀子ちゃん、それ殺人事件じゃないよ」
「ゑ?」
「それはアレだよ。うん、その人恐らく凄く喜んでると思うなあ……」
「まあ依頼貰ったんだから、被告人と被害者の所に行くわよ」
「被害者が生きてる時点で殺人事件じゃねえんだよだから」
※※※
まずは被害者の家へ。
「ちょっとすみませ~ん」
「はぁいぃ~」
テンションがハイになってやがる。
「弁護士の遠藤と申します」
「弁護士の浅井よ」
「お姉さん可愛いね~。俺の童貞今度こそ奪ってよ~」
「遠藤、粗大ごみの日っていつ?」
「人間って生ものだから生ごみで良いんじゃない?」
「何の議論!?」
いやお前なあ……。
「というわけで、どうされましたか?」
「セーターを着たべっぴんさんが家にやってきてヤらせてくれるのかと思ったら、別の家に往っちまってよぉ……。俺のある部分を元気にしたのに、何もしてくれなかった……これはある意味性欲を殺人されたっていうか」
「ちょっと何言ってるか分からないわね」
「だ~か~ら、あんなセーター着て家に来てんだから、間違えたとしてもヤらせろって言ってんの」
「これ被告人弁護しなくても普通に〇対十で私達勝てるわよね」
「でも一応裁判やるみたいだからね、聞きにいかないと」
「おい! 聞いてんのか!?」
「はいはい童貞。アンタは一生マスでもかいて生きてなさい」
「酷い!」
※※※
「何であんな変態のせいで留置所にいるのかイミワカンナイ」
「落ち着いてください今の台詞は別の罪に問われます」
「そうね。何とかライバーを敵に回すわ」
前の話でやったらしいしな。
「そうなの? それで裁判やるの?」
「まあ〇対十で私達勝てるけど、面白そうなんでやります」
「そ、そう?」
面白そうってなんだ……?
次回 裁判編
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