第百四十八話 浅井三姉妹のSUITSな日常 その二


 裁判当日。

 

「え~ではこれより、被害受女ひがいうけめの法廷を開廷します」

 

 某裁判ゲーに出るモブなみにそのまんまなネーミングだな。

 

「検察側、先似市濡太さきにしぬた。準備完了しています」

 

 最初から死ぬって言ってんじゃん。

 

「弁護側、遠藤安信。準備完了しています」

 

 ぽりぽり……。

 

「……」

「淀子ちゃん? 挨拶」

「弁護側浅井淀子、お菓子食べてるのでもう少々お待ちください」

「いや何喰ってんの!?」

「だってこの裁判、確実に被害者負けるよね」

「いやそうだけどさ……」

「取り敢えず始めてよろしいですか?」

「あ、どうぞどうぞ。やるのは遠藤なんで」

 

 もう帰ったら……?

 

「いやその、失敗した部下を返す時みたいな発言やめなさいよ」

「発してないよ! てか失敗どころかやる気ないじゃん!」

「首絞めちゃうわよぉ?」

「ぐぬぬ……」

 

※※※

 

「では被害者の勘違汚かんちがいおさん。証言をお願いします」

 

 証言台に立つ、被害者のバカ男。

 

《証言開始》

 

『これは殺人事件だ』

 

「俺はあの日、家でゴロゴロしてたんだ」

 

「いつもみたいにAV見ながら、〇〇〇〇をしてたんだ」

 

「するとあの女が、インターホンを押したんだ」

 

「俺は扉から出た時、鼻血を流して」

 

「でもあの女、家を間違えたとか言って俺のアレを萎えさせたっす」

 

「あんなエロい服で俺の家に来たのにヤらせてくれない! これはどう考えても殺人だ!」

 

※※※

 

「……では弁護人、尋問をお願いします」

 

 尋問する気にすらなれないんですけど。

 

「ちょっと待って。私にやらせて遠藤」

「え、大丈夫かい?」

「任せなさい? 私だって弁護士なんだから」

 

 今思い出したけどこいつ経歴詐称させたんだよな……。

 

「違汚?」

「なーに可愛いお姉ちゃん」

「アンタヤらせて欲しかったのよね?」

「お、おうよ」

「なーら♪ こっちきて♡」

「「ゑ」」

 

 何言ってんの淀子ちゃん!

 

「ほら~。萎えない内に」

「常にビンビン物語だ~」

 

 この小説終わるゥゥゥゥッ!

 

「あは、あははは……」

 

 ヤバいぞこれ止めるべきか……?

 

「ほらほら~ここに美味しそうなマシュマロが二つあるわよ~」

「あはぁ……いただきま~

「ふんッ!」

 

 ガスッ!

 

「あ……かはっ……玉蹴られた……」

「簡単にヤれるとか思ってんじゃないわよ勘違い野郎。アンタみたいな奴は一生マスかいて寝てろや」

「酷い酷い酷い!」

「そうよね~? 傍聴席のみんな~?」

 

 ――そ、そうだな!

 ――確かにこの男酷いわ!

 ――吐き気がするわッ!

 

「静粛に! 静粛に!!」

 

「証人、反論はありますか?」

「裁判長! もうこいつに反論する人権なんてないわよ! こいつは収容所がお似合いよ」

「酷い酷い酷い!」

「そうですな。では、証人を緊急逮捕します!」

 

 よ、淀子ちゃん強ええ……。

 

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