第百三十話 岸本優香 その一


「ふぁ~……やっと授業終わった~……」

 

 と、言う事は……ッ!

 

「バイトじゃあァァァァッ!!」

「初ちゃん、張り切ってるね!」

「当たり前だろ?」

 

 今日も京極先輩のあんな姿や、こんな姿を見ちゃうんだから!

 バイト代もたまりつつあるし、もう一回デートに誘うのも……いや。

 

「絶対邪魔される……」

「どうしたの?」

「また三章みたいな事が起きるとマズいな……」

 

 あいつらに玉付いてるならひん剥けば大人しくなりそうなのに……。作者は男だからいけるか。

 

『テメエ人の〇玉を何だと思ってんだよ』

 

 先輩に付いてれば十分なんだよ変態作者!

 

『んだとゴラ! 美形の恋人出来るチャンス与えられたからって調子こいてんじゃねえぞクソ貧乳が!』

 

 貧乳に設定したのテメエだろ!

 

『とにかく玉ひん剥くとか調子こいたお前に天罰だ! マジの天罰だ! 今テメエをどん底に落としてやるから首洗って待ってろ!』

 

 あ! こら待ちやがれ!

 

※※※

 

「ったく何なんだあいつは」

「どうしたの?」

「お前には関係ね

「ちょりちょりちょりーっす!」

 

 だきっ!

 

「うおあっ! 何だテメエ……殺されてえのか……?」

「やだこわーい! 初対面の淀子っちみたいな言い方しないでよ~!」

 

 現れたのは、金髪に褐色肌と紫のリボンが特徴の少女だ。

 ギャル系の。

 

「テメエ誰だよ」

「ご挨拶だな~。一応初対面でしょ~?」

「お前の喋りっぷりだと、そこら辺のチャラ男と話してるようにしか聞こえねえんだよ。てか誰だよ」

「あれ~。うちあまり名前知られてない系~? そっか~残念だな~! 自己紹介するね~」

 

 著作権的に危ない名前じゃない事を心から祈るぞ。

 

岸本優香きしもとゆうか! よろしく初っち!」

「んで、その優香が何で私に?」

「淀子っちの妹って聞いて、会いに来た! ねえねえ今から時間無い?」

「無い」

「そんな~ッ! たかろうと思ったのに」

「普通奢れよそこは」

 

 ダメだこいつ。やっぱり姉さんの友達だな。

 

「因みにお前も〇ャニーズ好きか?」

「うん! 淀子っちはケン〇ィー好きなんだよね!」

「お前は?」

「岸〇太」

 

 キン〇リのメンバーか。

 

「急に流行りのネタに乗っかってきたな」

「何のこと?」

「いや。知らないならそれで良いんだ」

 

 J事務所はネズミの王国なみに取扱注意だしな。

 

「あ。一応ダンス部の部長やってまーす! メンバーは六人! 是非来てね!」

 

 ダンス部あったのかよ。

 

「てからぶら〇部はどうした……」

 

 結局諦めたかなあ……あいつら。

 あ、やべえこんな事してる暇はねえ。

 

「んじゃ、バイト行くから」

「ついてくよ~」

「やめてくれ」

 

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