第五十二話 幸運過ぎる!?転校生 その一


「はぁ……うるせぇ……」

 

 ゴールデンウィーク明けの初日。

 クラスでは休みに何をしていたかの話題で持ちきりだった。

 

「今日も疲れてるみたいだけどどうかしたの?」

「お前に関係ねーよ……」

「む~。酷いな~」

 

 ゴールデンウィーク中、私はバイトに殆ど行けなかった。

 

「本当だったら京極先輩をランチ誘う所まで行く筈だったのにィィィィィィッ! あのバカ姉達めェェェェェェェッ!」

「まあまあ、もう色仕掛けとかしたら?」

「胸を近付けながら言ってるのは嫌がらせか何かですか?」

「あ、ごめん」

「私が男胸とか言われてるの知ってるだろ?」

「うん」

「やめてね?」

 

 先輩に揉まれて大きくならないかなぁ……。

 

「あーい、ホームルーム始めるぞー」

「起立、気を付け、礼」

「いきなりだが、転校生を紹介する。入れ」

 

 やべえ。嫌な予感しかしねえ。

 この学校に転校生が来るのは初めてだが、絶対変な奴だ。間違いなく。

 

「はい先生」

 

 低い声と共に、ゆっくりドアが開く。

 白髪に長身の美少女が、そのまま入ってきた。

 

「じゃあ自己紹介頼む」

「吉川(よしかわ)凪(なぎ)です。特技は運が良い事です。それ以外は何もないクズですが、よろしく」

 

 白髪に運が良いとか、どっかのゲームで訊いた事ある設定だが……。やっぱりキャラ濃そうな奴来た!

 

「浅井の隣に座れ」

「はい」

 

 しかもよりによって私の隣かよ!

 

「皆、仲良くしてやれよ」

 

 なんかめんどくさそうだからやだな~。

 

※※※

 

 先生が退出した後、私は彼女に話しかけてみる事にした。

 

「話しても、良いか?」

「ん? ボクに用?」

「ボク……?」

 

 その髪と顔でボク!? 完全にあいつじゃん!

 

「お前、異世界道具店って知ってる?」

「?」

「どういう事なんだ……」

 

 いや、この世界オリジナルのキャラとしてこいつ生んだならマジやべえよ!

 スパ〇ュンに消されちまうぞ!

 

「転校初日でキミみたいなユニークな友達が出来るなんて、なんてツイてるんだろう」

「その口調も色々とマズそうだから控えて……」

「なんか、凄い子来ちゃったね」

「ああ」

 

 まああのバカ共よりはマシか。

 

「浅井さん、アカウント交換しない?」

「え、まあ良いけど」

「私も私も~」

「勿論和泉さんも良いよ」

「あ、吉川。私の事は初でいいぞ。私三つ子で、別のクラスに姉と妹いるし」

「へ~。あとで紹介してよ」

「……あまり期待はするなよ?」

 

 こいつと会わせたらカオスな事になりそうだ。

 

※※※

 

「へ~、転校生ってその子?」

 

 恐らくカツアゲした金で買ったであろうアイスをしゃぶりながら、私に問いかけてくる。

 

「ああ」

「よろしく。ボクは、吉川凪だよ」

「その口調あぶねえからやめろって言わなかった?」

「あゴメン。どうやらボク、どうしてもこうなっちゃうみたいで」

「気を付けろよな?」

 

 バキ……ッ。

 

「姉さん、アイスの棒折れてるぞ」

「ちょっと来なさい、初」

「はあ?」

 

 連れていかれた先は女子トイレの個室。尤も女子高だから生徒用のトイレなんてそれしかねえけど。

 

「初」

「姉さん」

「何よ」

「別に壁ドンする必要無くね?」

「……初」

「無視かよ」

「あの子をレギュラーメンバーにするのがやめた方が良いわよ」

「お前らのパロネタ合戦とトントンだと思うぞ」

「それブーメランよ」

「てか、あれが召喚したんだとしたら無駄だと思うぞ」

 

 あれは確かに色々危ない。

 

「しょうがないわね。何とかしてここの世界で生きていく事の厳しさを教えるわよ」

「そんなんどうやって」

「私に考えがあるわ」

 

※※※


これの元ネタは某希望厨です。

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