第五話 初VS江代

「この甘味を賭けて、戦おう」

「……は?」

「この甘味を賭けて、戦おう」

 誰が同じこともう一回言えって言ったよ?

 

 大変な事になった。

 江代が、私のプリンを狙っている。

 

「これ、私のなんだが……」

「知らぬ。吾の命令が聞けぬのか」

「聞けません」

「なぁんでだよ……ッ!」

 

 藤〇竜也の真似をする江代。意外と似てるのがびっくりする。

 

「まあ良い、勝負しよう」

 日本語分かんねえのかなこいつ。

 

※※※

 

 向かったのは公園。腕を組みながら江代は、こう言った。

 

「赤の姫がやっている事とルールは同じ。真剣勝負だ」

 

 赤の姫とは姉さんの事。姉さんがやってる事だと……。

 

「おいまさか……」

「そう。ガチ鬼ごっことかいう遊戯だ」

「もっと平和的な解決方法ねえのかよ!?」

「ふっ……ないな」

 

 帰って良いかな?

 

「掛ってこい」

 

 まあ良い。江代が相手なら姉さんと違って、実力は五分五分だ。

 普通に戦えば、私が勝てる可能性は十分ある。

 

「はあっ!」

 

 江代は木刀を抜き、私はポケットからエアガンを取り出す。

 そして、江代に向かって一発発砲。しかし木刀に防がれてしまう。

 

「そう簡単にはいかないか。だがプリンの為。勝たせてもらう!」

 

 敵を倒しやすいのは不意打ち。まずは木に隠れて様子――。

 

「――ここか」

 

 シュン、と目の前で。

 

 ――木が切れた。

 

「木刀で木を切った、だと?」

 

 訂正しよう。あいつの筋力がよく分からない。

 あれじゃあ私を切る可能性がある。

 

「うわああああああああッ!」

 

 立て続けに発砲する。しかし。

 

「〇突・弐式!」

 

 ヤバい技で防ぎやがった。

 

「著作権的に危ないネタやめい!」

「ふっ……吾にこの世界の理は通用しない」

 

 止めを刺すしかない!

 

「うおおおおおおおおおッ!」

 

 パンツが見えるのを覚悟で回し蹴り。江代の脇腹に命中し、ダウンさせる。

 

「とった……」

「言った側から、また油断。馬鹿は死ななきゃ治らない」

 

 あれ、この展開って……。

 

「牙突・プリン式!」

 

 いや伏せろよ!

 しかもおい! それ剣じゃなくて私のプリンンンンンンンッ!!

 

 ベチャ……ベチャ……ベチャ……。

 

「あ、オワタ……」

 

 視界をプリンが塞いでいる。そのまま腹を突かれて……意識を失った。

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