残りの佐藤、アップ始めました
翌日、今日は澪と雫の髪を染める日だ。
ガイアの染色は十時間ほどかかるらしい。
おしゃれは忍耐だ。
ちなみに昨日、買い物は無事終えることができたらしい。
今、澪と雫は魔女と聖女の服ではなく、やり手の商人のような格好になってる。
ただ、札束ビンタで時短しまくったせいでかなりお金を使ったとのこと。
内訳は、まず馬車。
これがすっごい大きな買い物だった。
既成品の馬車を俺たち仕様にカスタムしてもらったわけだけど、そのカスタム作業に投入された職人の数が半端なかった。
まぁ、一日で仕上げるためだからしょうがないんだけど。
で、馬車のお値段が白金貨八枚、日本円にして八百万円。
超びびったよ。
次に高かったのが、通信用の魔法具だった。
仕組みはわからないけど、登録した魔法具と通話ができる、ざっくり言うと携帯電話のような魔法の道具らしい。
科学技術は中世レベルな感じだけど、魔法があるから便利なこともあるなぁ。
それを、百段たちにも持たせるために六個。
澪と雫は百段たちと話せないけど俺は話せるから、念のために持ってもらうことにしたみたいだ。
これが六個で白金貨四枚と金貨八十枚。
あとは服やリュックや寝具、その他諸々をお買い上げ。
合計で白金貨十四枚のお支払い(大量購入したから端数はおまけしてくれた)。
一日で千四百万円相当の買い物……。
うん、すげぇ!
そんなわけで、俺もボディバッグをゲットした。
おまけに通信の魔法具も。
ちなみに魔法具は俺と澪と雫はブレスレットタイプで百段たちはネックレスタイプだ。
俺は左の前足につけてる。
ふふ、人間の道具も華麗に使いこなす俺。
ただのモンスターとはわけが違うぜ!
ちょっと話が脱線しちゃったけど、今日は澪と雫が髪を染める。
十時間ほどかかると言っても、ヘアカラー剤?のようなものを髪に塗って放置するだけ。
その放置の時間が十時間らしい。
超しんどそう。
ちなみに魔法を使わない場合は赤茶色になるらしいけど、放置中に光属性の魔法で光をあて続けるとブロンドヘアーになるらしい。
で、二人はブロンドにするらしい。
まぁ、日本人って金髪への憧れはけっこう強いしね。
放置してる間は当然サッカートークで盛り上がった。
でもさすがに十時間ずっとサッカートークはできない。
だから適当にリバーシと将棋を木で作って遊んで時間を潰した。
ほんとはトランプがよかったんだけど、ガイアは紙は高いから断念。
でも、久しぶりにやるリバーシや将棋は、なんだかんだで楽しかった。
翌日、すっかりパツキンの姉ちゃんになった澪と雫とともに宿を出た。
もうこの街でやることはないので、今日これから街を出て龍の巣へ向かう。
馬車に荷物を入れて、俺たちも乗り込む。
「百段たち、よろしく頼むね」
「ヒヒーン。(任せろ)」
街を出る時に門番に止められたけど、門番が澪と雫の顔を覚えていたので顔パスでいけた。
髪色が変わってて驚いていたけど、これから潜入任務があると言うと納得して通してくれた。
こうして、三日ほどのタテハマ滞在は無事に終えることができた。
めでたしめでたし。
タテハマの街を出て二日目の朝、追っ手の第二陣と第三陣が編成されていると薫子さんから聞いた。
どちらも百人規模で、第三陣のほうは召喚された残りの四人が率いるらしい。
「追跡側な以上、全員馬に乗ってるんだろうけど、できるなら馬は傷つけないようにしたいよねー」
「それなら前みたいに魔法で拘束からの俺のワンパン×百っていう作戦?」
「んー、百人を拘束となると、魔力の消耗がかなりきついかなー。
できなくはないんだけど、第三陣も同じくらいの人数な上にあいつらもいるんでしょ?
だったら第二陣で消耗する方法はやめたほうがいいね」
「そうだね~。
嫌な人たちだけど英雄の能力持ちだからね~。
どういう風に対処するにしても、万全の態勢で迎えたいよね~」
「そうだなぁ。
手間はかかるけど、馬に攻撃を当てないように気をつけながら一人ずつ馬から落としていこう」
「馬がいなければ、私の広範囲魔法一発ドッカンして終わりなんだけどねー」
「俺が馬と話せるとはいえ、言う通りにしてくれるわけないしなぁ」
「ヒヒーン。(俺から言えば言う通りにするだろう)」
「え、そうなの?」
「ヒヒーン。(旦那様は城の軍馬の中でボスのような存在でしたわ)」
「ヒヒーン。(きっと旦那様が言えばその通りにするでしょう)」
「そうなのか。
じゃあ百段、追っ手と対峙した時お願いしてもいい?」
「ヒヒーン。(任せろ。人間を振り落としてとにかくその場からすぐに離れるように言おう)」
「なになに?
百段たちなんて言ってるの?」
「百段が相手の馬に言ってくれることになったよ。
兵士を振り落としてその場から急いで離れるようにね。
百段は城の軍馬のボス的存在だったようだから、たぶんいう事聞いてくれるだろうってさ」
「おー、さすが百段!
頼りになります!」
「両手に花は伊達じゃないね~」
「第三陣のほうはどうしよう、兵士はともかくあの四人は簡単に振り落とされないと思う」
「その四人だけが問題なら、真っ先に俺がその四人に飛びかかって注意をひきつけようか?
澪も馬に当たらないように魔法撃ったりしてくれればもっといいと思うし。
攻撃されてる時に馬が暴れたらさすがに落ちるんじゃない?」
「念の為四人が乗ってる馬に私がバリア張れば大丈夫じゃないかな~。
ちょっとの間なら強いバリア張れるし」
「おー、それいいね。
そうしよう!」
「で、馬が離れたら私の魔法でドッカンやって、四人以外には寝てもらいましょう!」
「ちなみに、男佐藤四人組ってやっぱ強いの?」
「そりゃあね~。
勇者様に剣聖様、拳聖様に弓聖様だからね~。
あと純粋に性格がやばい!」
「そうなの?」
「弱肉強食さいこー!って感じの連中だからねー」
「うわー、この世界にソッコー馴染んでそう……。
まぁ、とにかく俺が四人にちょっかい出しながら注意を引きつけて、澪が後ろから魔法をドーンと撃っていく感じでいいのかな?」
「まぁそれが理想ではあるんだけど、でもいいの?
あの四人相手だと、私たちは手加減する余裕なんてないから、最悪殺し合いになっちゃうよ。
ジズーはこっちに来てすぐ私たちと一緒に旅に出たから、きっと人を殺した経験ないよね?
私たちは訓練で盗賊を相手にしたこととかあるし、大丈夫。
でもジズーはそんな経験ないから、すごくつらいと思うよ。
四人は私と雫でなんとかするから、ジズーは見ないほうがいいんじゃないかな」
「そもそも、元々は私たちの問題だからね~。
地球に帰る方法を教えてくれて、手助けまでしてもらってるだけでも十分助かってるんだし。
ジズーちゃんはそこまでしなくていいと思うよ~」
「でも、絶対死なせちゃうとは限らないんでしょ?」
「ジズーにこういう事はできるだけ言いたくなかったけど、私はチャンスがあれば確実に殺すよ。
あの四人にあんなすごい能力があるのは放置できないもん。
私が知ってるだけでもすでに何人も犠牲者がいるし」
「ジズーちゃんも想像できるでしょ~?
悪党がすごい力を手に入れたらどんなことをするかってこと」
「あー……、うん。
なるほど、ちょっと考えが足らなかったみたいだわ俺。
でも、そういうことならやっぱり俺も手伝うよ。
地球の神様も、こっちで適当に処分してみたいなこと言ってし。
それに二人を無事に地球に帰すって約束したしね!」
「地球の神様そんなこと言ってたんだ……。
でもそっか、うん、ありがとねジズー」
「ありがとうジズーちゃん。
正直不安だから嬉しいよ」
自分で実際に会ったわけでもなく、ただ人から話を聞いただけの相手を悪いやつと決めつけるのはよくないのはわかってる。
悪いやつだからって殺していいということもない。
でも、自分たちを殺そうとしてくるなら話は別だ。
ついつい現代日本の感覚で物事を考えてしまうけど、ここはガイア。
法律や国家権力が守ってくれるなんてことはない。
自分たちの身は自分たちで守らなきゃ。
俺は覚悟を決めた。
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