24

「ハルマくんは、いくつなの?」


「ハタチです。今、大学生です」


「兄弟は?」


「兄が二人居ます」


「兄!?」


「上が23のエンジニアで、下が22のバンドマンです」


「に、23?!バンドマン?!」


「そうよ。だからリツは息子みたいだって言ったでしょ」


そりゃ引くわな。


「じゃあ、ココさんは一体いく…」


「だからもうすぐ還暦だって言ったでしょ」


「ホント…なの?」


「ウソですよ。でも、リツさんより遥かに歳上だってことに変わりはないです」


ハルマ、面白がってるな。




ハルマとリツは気が合うみたいで、盛り上がってお酒も進んだ。この日はお店は休みだったからゆっくり飲んで楽しんだ。


ハルマとリツをソファに寝かせて、寝室へ戻ろうとした時。


「ココさん」


「リツ、起きてたの?」


「ココさん…寂しかった?」


ちょっと、息子の前でナニ言うのよ。起きてたらどうすんの?


「ちょっと外出ようか」


私達はテラスに出て、もう少し飲むことにした。


「忙しかったの?」


「うん…まぁ。ねぇ、寂しかった?」


「そうね」


「え?」


「なに?」


「聞こえなかった」


「ウソ、聞こえてたでしょ」


「ちゃんと言って」


「…寂しかった」


「やったー!作戦成功!」


「え?何の作戦?」


「押してダメなら引いてみな作戦」


うーん。

厳密にはそれが成功したワケではないんだが。少し前までなら、寂しかったなんて言えなかった。


「俺も寂しかった」


「自分でやったんでしょ?」


「だって、ココさんの気を引きたかった」


柵に寄りかかる私を後ろから抱きしめる。


「キスしたい」


「ハルマが見てるとマズイからダメよ」


リツが腕を緩めたので振り返ると、悲しそうに私を見つめていた。


だからその目が仔犬なの!




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