20 リツ

あれからもう3ヶ月。

俺は今まで2ヶ月に1度は帰国していたし、その度に店に泊まっていた(と言ってもソファ。寝室には入れてもらえません)それにココさんから連絡があってもアッサリ返した。距離は置けたはずだ。

そう思っていたら、ココさんからLINEが来た。

ふふ、そろそろ恋しくなってきたか?


「リツ、元気?海に行ってきたよ。やっぱり気持ち良かったー!」


海岸線から少し離れた場所から撮られた写真。

端のほうに、裸足で海に入るココさんが写っている。


オイ、この画像誰が撮った?


落ち着け。

平静を装って返信するんだ。


「海いいね。誰と行ったの?」


ダメだ直球すぎる。

しかし頭が回らん。


「ハルマだよ」


ハルマって誰だーーーーーーーーーーーーーーー!


俺はすぐさま荷物をパッキングし始めた。







『ドンドン!』


「あれ?誰か来たよ」


『ココさぁん!』


「あらリツ、久しぶり」


ソイツはカウンターの中でコーヒーを淹れていた。

イケメン。

しかも俺より随分若い。

どけ、そこは俺の場所だ。


「誰?」


「紹介するね。ハルマです。私の息子」


息子……ホンモノの?


「初めまして。いつも母がお世話になってます」


ホンモノらしい。息子って、若いけど大人じゃないか。


「リツです。こちらこそお世話になってます」


ココさんは満足そうに笑っていた。

やっぱり俺より何枚も上手だ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る