140字の淡くて儚い物語集

淡 湊世花

孤独の城、蝶の宴

 金で買われる身としては、この店は牢屋ではなく家だっだ。外の世界の女どもが、私たちをさげすみ哀れんだとしても。

「お千、ご覧、わっちのお得意さんからだえ」

 姐さんの手には、美しい飴菓子の蝶。

「楽しいねぇ、普通に生きてたら味わえなかったよ」

 そうやって笑い合う娼婦達は、天女の如く美しい。

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