総帥の贖罪

「侵略されたら酷いことになる。だから戦わなければならない」

 雄弁を繰り返すその人は、綺麗な指をしていた。

 私は、涙を流した。

 私に手足はない。我が子は銃弾に殺された。

「民衆に戦えと謳うのは、戦ったことがない人間が吐く戯言だ」

 そう気づくまでに、時間がかかりすぎたのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る