溶けるココロ。

外街 北

溶けるココロ。

心は弱く、傷つきやすい。


心は生物(なまもの)で出来ていて、

普段は喜怒哀楽の感情に守られている為か、

直接的な攻撃を受けることがない。


だから、心はカラダのど真ん中に位置していなくてはならなくて

その周りは喜怒哀楽でいっぱいにしておく必要がある。

ちょっとやそっとの衝撃で位置が前後していては、生命がもたない。


そういったトラブルを解消するために


心には軸がある。

カラダの真ん中で、心の位置を揺るがさない、軸が。


その軸は、悲しみの青とよろこびの赤の、ツイストで出来ている。

基本的に、その軸は揺るがない。


しかし、侵食されることはある。


悲しみに染まって、軸が真っ青になった時、

心は影響を受けて、軸に凍てつく。

今までの衝撃を柔らかさで受けていたものが、ダイレクトに

心に振動して伝わる。

心は今までに感じなかった程に、激しく揺れる。

そのうち、軸から滑り落ちて、

胸の高さから足底まで落下して壊れてしまうかもしれない。


反対はどうだろう。


軸がよろこびに溢れて、深紅になったとき

軸は血液が凄まじい勢いで行き交い、

周りをも巻き込む、特別な熱を放出する。

それが良いのか悪いのか。

そこは置いておこう。


この熱は、誰かの悲しみに染まった軸まで届くかもしれない。

その熱は、悲しみに染まった、彼の軸を元のツイストに戻すことは出来るのか。

はたまた、

その熱が、彼の軸までもを溶かしきってしまうのか。


やってみないと分からないだろう。


ある人は熱で、数年越しの解凍を見たこともある。

ある人は、熱で心を解凍することを忘れて、軸に触れすぎ、軸をダメにしてしまった。


軸がダメになったとき、結果は言うまでも無いだろう。


不本意かもしれない。

必死にやってきた彼等には。

でも、それと同じくらいには、お節介なのかもしれない。


どうにも出来なかったのかもしれない。

必死にやってきた彼等には。

本当は届いていたのかもしれない。


時折、お節介に見せかけて、軸を汚れた手で触ろうとする輩が居る。

世の中にはそういう人も居る。

汚れた手で軸に触れられては、軸がどんな色・状態に変わるのか分からない


心が無事でも、軸は腐らせてはいけない。


そういう時は、悲しみもよろこびも

表に出すことで、心は潤いを帯びる。

喜怒哀楽はいつでも心の味方だ。

思い切り毒を出したら、子供の頃を彷彿とさせる感覚が戻ってくる

若返ったな。と。

デトックスされたな。と。

感じれるかもしれない。


自ら軸を差し出すこともある。

わざわざ危ない外界に出してまで、何をしようと言うのか。

だが、凍てついた心を解凍するのには、効果的かもしれない。と彼女は思う。

心の本来の温度を知らせてあげることが可能だ。

でも、忘れてはならないのが、それは心ではなく、軸であること。

あなたの軸もダメになってしまうかもしれない。

そのリスクを背負ってでも、

彼女は笑顔で、軸を彼に差し出す。


キミ。解凍出来ただろうか。

解凍した暁には、一緒に思い出の場所で、暖かい深呼吸をしに行こう。



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