黒服とじゅりあなさん
今日は朝からバルコニーの花の手入れをしている。
ここは角部屋ということありバルコニーが広くて俗に言うところのルーフバルコニーというやつだ。
彼女は花が好きだ。基本、可愛いものが大好きな彼女は色とりどりの花を栽培している。
一年中咲いているブーゲンビリアや一日中咲く夜顔など、ちょっとよくわからないのもあるんだが。
カラカラ
「・・・・・・」
ちょうど起きてきた彼女がバルコニーに出てくる。
「おはよう、冴草ちゃん。いつも言ってるが外に出るときは服着ような?」
カラカラ
戻っていった。何しにきたんだか。
「今日はどうするんだ?仕事はないんだろ?」
リビングでトーストの闘いが終わりコーヒーを飲みながら彼女に尋ねる。
「・・・・・・」
花屋か。そういや最近行ってないな。
「よし、じゃあ昼から久しぶりに花でも見に行くか」
というわけでやってまいりました、園芸店『ジュゴン』この近辺では有名な園芸店だ。主に店員が。
「いらっしゃいませ」
店の入り口で優雅に一礼する、黒服。昔ディスコの入り口にいたアレである。
「やあ、久しぶり。入っていいかな?」
「これはこれは、本寺様に冴草様、ようこそ起こし下さいました。ワンドリンク……」
「冴草ちゃんはもう入ってるけどね、じゃ」
園芸店でワンドリンクって何だよ?試しに頼んだらほうじ茶が出てくるんだぜ?ここ。
園芸店は、色とりどりの花に囲まれており、珍しく植物や観葉植物もかなり置かれている。胡蝶蘭の品種、品質も素晴らしいらしくわざわざ遠方から買いに来る人もいるくらいだ。
店員がいろいろアレだけどな。
「・・・・・?」
冴草ちゃんは、食虫植物と格闘してるからほっとこう。
さてと、俺としては家の中に置きたいんだよな。デカイやつがいい。デカイやつが。
「う〜ん、葉がデカイのがいいよな、やっぱ」
「あら〜それならオススメがありましてよ」
観葉植物を見ていた俺に声がかかる。
はあ、アレだ。
「本寺君、久しぶりじゃありませんこと?あのちっさいお嬢さんもご一緒かしら?」
振り向いた俺の前には、簡単に言うとボディコンのお姉さんが立っていた。入り口に黒服がいて店員がボディコンだ、おまけに扇子まで持っていやがる。
いろいろとダメだろ?この店。
「ああ、じゅりあなさん。久しぶり」
見慣れてるので俺は大丈夫だが一見さんならアウトだよな。スリーアウトだ。
「冴草ちゃんならあっちで食虫植物と戦ってる」
「あら、そう」
じゅりあなさんは扇子をふりふり去っていった。
想像出来ると思うが他に「まはらじゃさん」とか「きんくいさん」とかいるからな。
結構、俺はオーガスタ・ストレリチアを一株買って帰ったのだが、冴草ちゃんは当然食虫植物をご所望した。
なんでも戦って
他にないのか?
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