ファンタジー革命6 認識力

妖狐と目が合ったドラゴンが冷凍ブレスを吐いてきた。


妖狐はそばに居た地龍を足場にして軽々飛び躱す。

俊敏さはドラゴンの比ではない。

ドラゴン同士の鈍足に慣れた目では、そう簡単には捉えられない。


足蹴にされた地龍が反射的に噛みついてきたが、

足が凍り届かなかった。


冷凍ブレスが妖狐を追うように迫るが、

それを利用するように同士討ちさせて行く。


間一髪で躱すブレスが面白いように同士討ちを誘う。

別の角度からも妖狐を狙った冷凍ブレスが放たれた。


案の定の十字砲火状態。


一歩間違えば氷漬けのハラハラする回避を続ける妖狐が、

注目を集め始める。


綺麗なきつね色。


戦場は火炎ブレスを吐くレッドドラゴンの赤色、

冷凍ブレスを吐き地下では保護色の灰色、

地龍の黄土色、八岐大蛇の緑色、その鱗が光りカラフルだった。


妖狐は九尾を巧みに揺らせて踊るように飛び回る。


集まる視線が増えるほどブレスも増える。

炸裂する火炎ブレスと冷凍ブレスが狐をキラキラと彩る。


何かがおかしかった。


ひと際巨大な八岐大蛇と対峙し、その噛みつきを躱す。

ことごとく躱した頭にリズミカルにブレスがさく裂した。


妖狐が八岐大蛇の亡骸の上に立ち止まった。

全てのドラゴンが妖狐を見ている。


魅了。


掛かっている事を認識できる者は居ない。

第三者ですら認識できない自然すぎる魅力。



ラファエルが放ったドラゴンは命令に従わない試作ドラゴン達だった。

野に放てないが、殺処分するには惜しかった。


誰にも従わないその凶暴性が、逆に信頼できる防衛手段になっていた。



始め犬坂はネーバ星に干渉することを反対していた。

それがいつの間にか、ほとんどの犬士が参戦している。


底知れない魅力がそうさせたのか、誰にも分からない。

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