梅田迷宮編5 谷町戦

地下大阪城の武器庫で甲冑を着込む犬神に乙姫が話しかける。


『武器はこれなんてどうでしょう?』

30cm程の四角い長筒から木製の杭が出ていた。

パイルバンカー


犬神が杭を押し込もうとするが微動だにしない。

『金剛力でないと装填できません』


左手に小太刀を持つ。

左小手で杭をなんとか押し込む。

カチっと音がして8割ほど筒に収まった。


単純に強力なバネを使った構造。

しかし、今度はどうやって発射すればいいかわからない。

犬神が引き金を探していると、


『心の中で発射をイメージしてください』


犬神が発射をイメージすると、ガーンと杭が飛び出した。


今回の装備は、

甲冑、木刀、小太刀、魔除けの笛。

パイルバンカーは右小手に固定した。


『じゃあ行きますか』

ガーン

犬神はパイルバンカーをうなずく代わりに発射した。


『おもちゃじゃないんですよ、、、』



犬神と犬塚共に今回の出撃は、朝までとの犬坂からの指示だった。


犬神の大阪メトロ担当路線は谷町線、

谷町4丁目をスタートし天王寺方面へ向かう。


空には遠目にコウモリが飛んでいた。


犬神は構わず谷四駅に入ると河童の斬殺死体が数体転がっている。

剣士犬塚は先行してここから本町、なんばに向かっていた。


犬神はホームで魔除けの笛を吹いてみた。

しばらく待ったが河童残党の気配は無い。


天王寺方面へ線路を走る。

谷六のホームに着くまで線路内では河童には出会わなかった。


ホームで笛を吹く。

すぐに4体の河童が現れた。

犬神はゆっくりと歩いて近づいていく。


河童は犬神を囲むように回り込む。

あえて囲ませた。

逃げられるのは面倒。


河童が同時に襲い掛かってきた。


正面の河童だけに集中する。

首を伸ばしての噛みつき。


犬神は口の中に右手を突っ込んでひねり、

頭の皿を地面に叩きつける。


他の河童が左腕、左肩、右腕に噛みついてきた。


左肩の河童の皿をパイルバンカーで割る。

左腕に噛みついている河童はパイルバンカーに驚いて離れた。


右腕に噛みついたままの河童へ木刀の柄を振り落として皿を割る。


離れた河童が逃げるか迷っている一瞬に近寄り木刀を振り下ろす。

河童は片腕で防ごうとしたが、腕ごと皿を割った。


もう一度笛を吹くが河童の増援は無かった。

こんな調子で朝までに文の里までを掃討した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る