大阪城攻防戦8 食事

日の出と共に眠った犬神真人は、昼頃に目が覚めた。

室内のシャワーで身支度して部屋を出る。


『食堂ありますよ』

いつのまにか乙姫が側に浮いていた。

「どこ?」

犬神は食堂へと案内された。


大阪城内は籠城するには十分の食料があった。


犬神は料理が出来ないので、ご飯をふりかけで食べた。

缶コーヒーを開けて飲む。


「聞いてもよろしいか?」


『はい』


「かっぱや鬼が突然現れて、伏姫を狙ってるようですが?」


『鎌倉時代より前、日本には妖怪が当然のごとく存在して居りました。

伏姫は妖怪討伐の組織を束ね、討伐して回りました。』


『しかし現代、新聞、テレビ、インターネットが普及して、

人々は知るはずのない、手の届かない所での事件をよく聞くようになりました。

年々、行き場のない怒り、憎しみが充満し始めております。』


『近年の募りだした怨念が昔の怨念をも増幅させます。

生じた妖怪どもは、伏姫を倒せば討伐される事は無いと、

本能的に知っていて狙っているのです。』


「伏姫は神様か何かですか?」


『伏姫は遥か未来のお方、時空を操る事が出来ます。

過去へ渡り、未来を守っておられます。』


『武器なども伏姫が未来から持ってきた物です。

昔の人々が使いやすい物に合わせてあります。

しかし強力すぎる為、1000年程度は使えております。』


『また、怨念によって生じる妖怪どもも、

未来の技術が関係している可能性があります。

伏姫と同じ、時空を超える存在が暗躍しているので、

こちらの思い道理とはならず、犠牲者が出る事があります。』


『犬神さんは武術の心得があり、

危険な任務に就く意思が有ったのでスカウトされました。』


犬神はぐびっと缶コーヒーを一口飲む。

これから命がけで戦う運命のようだ。


『参考までに何か武器の説明をしましょうか?』


「では犬塚さんが使っていた日本刀?」


『妖刀村雨ですね、

柄を握るとナノマシンが放出されます。

それが霧に見えます。』


『ナノマシンは所持者を識別し傷を負えば治療します。

また、周囲をレーダーのように監視し、所持者にも認識させます。』


『斬撃の際には、あらかじめ霧内の構成元素が解析されており、

ナノマシンが刀に反物質を生成します。

反物質により攻撃対象を消滅させます。』


『つまり切っているのではなく、消滅させています。』


『峰の側では対消滅で発生したエネルギーを利用し、

消滅した物質を再生成します。

飛び道具などは霧が単純に消滅させます。』


「もう一振り無いのですか?」


『強力なので、

現代には在りません。』


「現代には、ですか、、、」


『はい』

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