レイジスリーピネス

変太郎

第1話 寝てしまう

今日は授業中、とても眠かった。高校三年生の俺は今まで一度も授業中に寝たことがない。どんなに寝不足でも寝たことがない。徹夜明けで寝なかったときは、自分でもすごいと思った。それなのに!なぜ今日寝たんだ!

昨日はしっかり11時には寝た。朝6時に起きたので7時間の睡眠は確保してきた。なのになんで!?運動部にも入らず、放課後は家で勉強や読書するだけの僕が!疲れているなどという理由も考えられないのに何故!

しかし、もう起こってしまったことは仕方ない。いくら個人的に後悔していたって、一般的には人生で一度だけ授業中に寝てしまったことなんて大したことはないはず。でも悔しい。悲しい。あー、もう何もやる気ない。

寝よう。



今日も寝てしまった。え?なんで?普通に疑問。昨日は何もしないで、っていうかできないで寝たじゃないか!しかも今日は一度じゃない。三度も寝て、先生にも叱られた。周りの席の友達にも不思議がられた。もう訳がわからない。もっと早く寝なければいけないっていうのか?そうか。ならもう夕飯も抜きだ!半日寝てやるわ!


翌朝、僕は自分で驚いた。起きて10分も経っていなかっただろう。朝食を食べている途中で寝てしまったのだ。茶碗に勢いよく頭を落とし、音を立ててしまった。母も驚いていた。

その後、母に全て話すと、心配した母は、病院へ行こうと言い出した。それは流石に言い過ぎだと思ったが、今日も学校で再び醜態を晒すのは御免なので、取り敢えず従うことにした。こうして今、病院へ来ている。いい歳して親同伴で通院というのはとても恥ずかしい。平日の昼ということもあって、老人で溢れかえっているが、その中に目立つ乳児が、こちらをじっと見つめるので、恥ずかしい限りだ。

「細谷さん、細谷堅ほそやけんさん診察室にお入りください」

その言葉にほっとして、立つと、立ち上がったことでより目立ってしまったらしく、先ほど見てきた男の子がこちらを再び見た。

診察室に入ると、病院らしい雰囲気に呑まれ、さっき安心したのは大間違いだったと気づいた。緊張して床を見ながら椅子に座る。母が後ろに立っていることで今度は逆に気がほぐれた。

症状を話すと、とても信じられないといった表情で、投げやりにこう言った。

「ここでは検査できないので、総合病院などで、診てもらってください」

仕方なく、バスで総合病院に行くと、すぐに検査を受けることになった。

大がかりな検査は数分で終わり、ついに診察結果が告げられる、というときになって、椅子に座ると、強烈な睡魔に襲われた。ふと我に返り、目を見開く。

「大丈夫かい?」

そう言われ、大丈夫じゃないから病院へ来ているんだ!と言い返したくなった。

そんなやり取りを経て、結果が告げられる。

「細谷堅くんねー、睡眠欲が制御できなくなっていますね」

そう言われたとき、なんと俺は眠りに落ちていた。



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