第10話 二人の約束
「ありがとう」
手鏡を返す。
「俺さ。どうしてもトレジャーハンターになりたいんだ。けど、無理って言われて、騙された!」
「え? 騙された!?」
「うん。これ見てよ」
俺は、お嬢に言われた魔月の花を指差した。
「これを取ってくる事が出来たら認めてあげるって言われてさ。立入禁止区域だろう? だからこっそり取りに行こうと思って」
「ダメよ! やめた方がいいわ。あなたが弱いとかじゃなくて、遺跡には魔力が充満しているの。その魔力を吸って大きくなる花よ。だからモンスターにやられる前に、魔力にやられちゃうわ!」
「え? そうなの? 魔力って体に悪いの?」
「……そ、そうだったわね。何も覚えてないんだったわね」
そう言って、一生懸命に危ない事を話してくれた。
魔力が多い場所を
人間は、自分の容量以上の魔力を吸収すると、具合が悪くなり毒に侵された状態と同じになるそうだ。そして、その時に魔法を扱うと暴発する可能性が高い。なので、アイテムなどで、魔力を抜くしかない。
トレジャーハンターやモンスターハンターは、魔力に耐えられる様にアイテムを所持しているのが普通。しかも、トレジャーハンターが挑む遺跡は、覆魔の事が多い。彼らは、モンスターにやられる確率よりも魔力に毒される事の方が多いそうだ。
なるほどなるほど。
だったら余計にオレ向きじゃないか? たぶん……。
「ねえ、そのアイテムってどこに売っているの?」
「売っているのは、ハンターの館かな? でも普通は、錬金屋に頼んで自分にあった物を作ってもらうものよ」
「なるほど……。じゃさ、作ってくれない? お金は分割になるけど」
「……あのね、それ作れる様になれば一人前なの。卒業生は、それを作って卒業するのよ」
「え!? そうなの? ちなみに卒業するまで後何年?」
「……よ、四年よ。入ったばかりなの」
マジか~!!
「でもたぶん、卒業出来ないと思うわ」
「え? 成績が思わしくないとか?」
「違うわよ。お金が足りなくてって事。授業料は何とか払えてもその他にお金がかかるのよ……だから行かないって言ったんだけどね。この学校を出れば、安心だからって」
親心ってやつか……。
お金ないから貸せないしなぁ。でも錬金術師の知り合いがいるのは凄くありがたいよな。将来絶対頼りになる!
「あのさ。俺に簡単な錬金術教えてくれない。授業料として……」
「無理! 禁じられているもの。弟子以外に教えてはいけないのよ」
結構厳しいな……。
「じゃ、採取の仕方とかは? 俺、まだした事ないんだ。それ教えてくれたら代わりに材料を取りに行ってやるよ。どう?」
「え? でも……危険よ」
「将来、アイテムトレジャーハンターになるんだから大丈夫」
「……一応教えるけど、無理しないでね」
「ありがとう!!」
とりあえず、これで色々知識は手に入れられる。彼女が欲しがる物もは、いずれ作ってもらう時に必要になる物だから、採取場所を把握しておくのも悪くない。
俺達は、こっそりと約束を取り交わしたのだった。
魔王の手下として異世界転生させられました~使命はアイテム収集なのでアイテムトレジャーハンターに扮します すみ 小桜 @sumitan
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