第107話 復習再開(愛花6泊目)

 春香との新婚生活(仮)を満喫し終えた翌日。大学の授業を受け終わった俺は、毎週お馴染みアルバイト先の学習塾で、愛花の授業を執り行っていた。


「できた」

「おう」


 いつものように前回の復習テストを終えて、愛花の解いた問題の丸付けを開始する。そして、これまたいつもの通り、危なげなく満点の答案用紙を愛花の元へと返却する。


「ほい、満点」

「うん、知ってる」


 当然っと言うように胸を張り、答案用紙を受け取る愛花。そして、満点の解答用紙をもう一度見つめたかと思うと、視線はすぐに俺の元へと戻る。


「それじゃあ、次は大地の復習ね」

「……え? それまだ続いてたの?」


 いつものように……ではなく、久々の復習タイム。喧嘩したりとか文転問題とか色々あったから、その制度はすっかり消滅したものかと思っていた。

 そんな戸惑った様子の俺を見て、愛花が呆れた表情で口を開く。


「何言ってんの、当たり前! 大地も私のことについてちゃんと勉強して復習する、これ常識」

「いや、だとしても塾でやる必要ないだろ……」


 俺は不安そうにキョロキョロと辺りを見渡す。

 毎度のごとく俺たちが座っているブースからは、運よく何をしているのかを見られる心配はないのだが……


「ここ勉強の場。本当なら私の魅力についての勉強もここでするべき。でもそれは流石にできない。だから、復習はせめてここですべし」

「滅茶苦茶理論だなおい……」

「ま、とにかく前回の復習ね。えっと前回だから……」


 愛花がわざとらしく顔を上げ、顎に手を当てて考える仕草をする。

 前回の復習だから……つまり俺がスカートの中に顔を埋めて太ももに挟まれなくてはいけないわけで……


「いやいや、前回のは流石にここでは無理だろ!」


 俺が小声で叫ぶと流石の愛花も唸る。


「う~ん、確かに。もしバレたら、大地がクビどころじゃなくて警察にお世話になってしまう」


 いやっ、今までやってきたことも見つかってたら警察沙汰の大ごとだけどね!?


「じゃあ、仕方ないから妥協してこうしよう」


 そう言って、愛花はムクっと立ち上がり、俺が座っている椅子へと近づいてきた。


「大地、足閉じて」

「えっ……こ、こうか?」


 俺は広げて座っていた足を閉じてきちんと座った。ってか復習はやるんですね……

 愛花は俺が思っていることなど知る由もなく、閉じた足にまたがる形で乗っかってきた。


「おわっ、ちょ……」


 乗っかってきた瞬間、フワッと愛花の甘酸っぱい汗の香りとほんのり甘い香りが漂ってきて、頭がクラっとしてしまう。


 それに、生足を開いて俺の足の上に乗っているということは……今愛花のパンツが俺の足に直であたってるってことで……

 気にしないようにしたいが、どうしても神経がそっちに向いてしまう。心なしかちょっとほんのり温かい気がした。


「それじゃあ、このまま私の太もも辺りを揉みしだいて」


 とんでもないことを愛花は口走ってきた。だが、愛花は俺がやるまで膝の上から退く意思はないのだろう。

 俺は、はぁっとため息をついてから、愛花のスカートから伸びているそのスラァっとした太ももへと視線を向ける。


 俺、先週この柔らかそうな太ももに顔を挟んでもらったんだよな……ってか実際柔らかかったけど……ついつい思い出してしまい、ゴクリと生唾を飲みこんでしまう。


「は……早くしてよ」


 流石に今回の復習は愛花も恥ずかしいのか、モジモジと身体をよじらせながら俺を急かしている。


「じゃ、じゃあ触るぞ……」

「う、うん……」


 俺は意を決して、両手をワシワシと変態染みた動かし方をしながら愛花の太ももへと近づけていき、一気に鷲掴みにする。


「んっ……!」


 いきなり力を込めて掴んだためか、愛花から驚いたような少し甘い声が漏れた。

 しかし、今はそんなことは気にせず、俺は手で愛花の太ももを揉んで堪能する。

 先週家で触った時と体制が違うせいか、少し引き締まっている部分とモチっとした柔らかさ部分を兼ね備えていた。その触り心地がまた癖になってしまい、ここが塾ということも忘れ、愛花の太ももを一心不乱にまさぐった。

 スカートの衣擦れの音が激しくなって来たところで、愛花が小さな声で呼びかける。


「ちょっと……大地……もう……大地!」

「っは!」


 我に返った時には、愛花は恥ずかしそうに頬を染め、こちらを蕩けきった表情で俺を見つめていた。


「もう……場所を忘れて興奮しちゃって大胆なんだから……」

「わ、悪い」


 俺がふとももから手を離すと、愛花は一度手を机において体制を整えてから、俺の足の上から離れる。


 愛花が離れてしまうのを残念そうに思っていると。それに気が付いた愛花がにこにことした表情で顔を俺の耳元へと近づけてきた。


「後でまたいっぱい、私の生足太ももに匹敵するほどの魅力教えてあげるから、今は我慢してね?」


 そう言われ、俺は呆けた表情で愛花を見つめた。

 そんな俺の様子を見ながら、愛花は小悪魔的な笑みを浮かべて自席へと戻っていった。



 ◇



 3コマ目の授業まで教え終わり、アルバイトを終えた俺は、学習塾を後にする。

 先に学習塾を後にした愛花から『家の前で先に待ってる』と、スマートフォンにメッセージが届いていたので、そそくさとアパートへの道を急いだ。


 それにしても、さっき言っていた生足太ももに匹敵するほど魅力的なこととは、一体何なのだろうか? 太ももよりも魅力的なところって……まさか!?!?


 俺は妄想を膨らませ、どうしようもない変態野郎に成り下がりながら、アパートへと向かっていった。


 アパートの前に着くと、道路前の電柱に寄りかかり、英単語帳を開いて熱心に勉強をしている愛花の姿を発見した。こう見えて愛花も高校3年生、受験に向けて1秒たりも時間を無駄には出来ないのだ。


 俺はそんな真剣な様子の愛花に声を掛けようか迷っていると、その様子に気が付いた愛花が顔を上げて、じとっとした冷たい目線を送って来た。


「そんなところで躊躇してると、JKを襲おうとしてる変態男に見えるから、ちゃんと声かけて」

「は、はい……」


 開口一番に注意されてしまった。

 やっぱり周りから見れば、愛花と俺の関係ってそういう風に見えてしまうのだろうか??

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