第102話 トロンとした綾香(綾香5泊目)
しばらくして、気持ち悪さを感じて目を覚ました。
毛布の中で火照りに火照った俺の体から大量の汗が分泌され、寝巻きがビッショリと濡れてしまっていた。
下着の方までじめっとしていたので正直気持ち悪かった。
すると、綾香もモゾモゾと布団の中で激しく動きだした。
綾香は暑苦しいといったように体を動かして「うう…」っと唸っていた。
俺の体温の暑さと、毛布を肩まで掛けていたのもあり、暑かったのだろう。そのまま毛布を引き剥がして再び俺を抱き寄せる。毛布の中から解放され、涼しい空気が俺の身体に当たった。
その時だった、綾香の胸元に再び顔が埋もれると、布地ではない柔らかい感触が直に感じた。
俺は驚いたように目を開けると、丁度良い二つの膨らみと、ピンク色のブラがあらわになっており、先ほどまで身につけていたジャージを脱いで下着姿で寝ていた.
俺は思わず目を逸らして、綾香の魔性から離れるために頭を動かした。
「うぅ……大地くん逃げないで……」
「いや……だってなんで下着??」
「だってぇ……暑いんだもん……」
「いや、毛布を剥いで寝ればいいでしょ」
「毛布も剥いでも暑い~」
「なら、俺を離せばいいんじゃ……」
「ヤダぁ~大地君は離さないもん!」
そう言いながらさらにギュっと綾香は俺を抱き寄せる。
スベスベの綾香の柔らかい肌が辺り、俺は思わずドキっとしてしまう。
こうしていると思いだしてしまうのは、ラブホテルで見た綾香の艶やかな綺麗な体のラインと、トロンとした目で誘ってきたあの場面であった。
いかんいかん! 変なことを思いだすな俺! 色々とまた込み上げてきちゃうから!
首をブンブンと振って煩悩を払いのけていると、綾香が再び気持ち悪そうな声を発した。
「う~ん……大地くんの寝間着汗で濡れてるよ……」
「あっ……いや……すまん」
「ん~じゃあ、大地君も脱いじゃいなよ」
「へ……?」
「ほら~早く~ベトベトして気持ち悪い~」
半分寝ぼけながら綾香は言ってるのであろうが、それはどうなんだ?!
ってか、お互い下着になっちまったらまたこの間のことを思いだしてしまうわけで……
だが、ダメだと思っている自分とは裏腹に、またあのスベスベの綾香の肌と身体を地肌で感じたいと思ってしまっている自分もいて……
俺は悩んだ挙句、はぁっとため息をつきながら妥協した。
「わかったよ」
そう言い終え、俺は一度起き上がり、汗でじめっとした寝間着を脱いだ。
上下を脱ぎ捨てて。下着1枚の姿になり再び横になる。
それを寝ぼけた状態で見ていた綾香もニンマリとした笑みを浮かべていた。
「おいで~」
そして、またもや両腕を広げて俺を綾香の胸元へと導いて……じゃなくて、今回は綾香の顔の方に真正面で抱き合う形で綾香が俺の身体をギュっとしてきた。
「はぁ~大地くん……」
甘い吐息を吐きながら満足げに息を吐き、綾香がベッタリと身体を重ね合わせ、足を絡ませてくっ付いてきた。
「ちょ……」
「おやすみ~」
そのまま綾香は嬉しそうな笑みを浮かべて眠りについてしまった。
ちょっとぉぉぉ!! これじゃあ、ホテルの時と全く同じ状況なんですけど、むしろ自分の部屋で雰囲気に流されていない分余計に達が悪いんですが……
綾香のしなやかかつ柔らかい身体とスベスベの肌が全身に当たり、綾香のシャンプーの香りや、甘い香りが漂って来てますます理性を刺激する。
鎮まれ俺の煩悩……沈まれ俺の邪な気持ち……
俺はこうして中々寝付けない夜を過ごす羽目になってしまった。
◇
チュンチュンと雀の鳴き声と窓から朝日が差し込み俺の顔を直撃して、目を覚ました。
あれからどのくらい努力をして寝たのだろうか?? あまり記憶がないが、なんとか寝付くことは出来たようだ。そんなことを考えつつ、とうの原因となった女の子を見ると、幸せそうな寝顔でスヤスヤと寝息を立てながら眠っていた。
俺はそんな姿を見て何気なくため息をついてしまう。
すると、そんなため息の声が聞こえたのかは分からないが、綾香が目を覚ます。
「んんっ……ぁ……あれ? あ、大地君おはよう」
ニッコリと柔和な笑みを浮かべておはようの挨拶をしてくる綾香を見て、思わずドキっとしてしまう。
「お、おはよう……」
「うん……えい!」
「うぇっ……」
綾香は少し離れていた身体を再びくっつけてきた。
「あれ? えっ……・」
すると下の方の違和感に気が付き、綾香が顔を真っ赤にしていた。
「あっ……」
それもそうだ。何故なら、俺の下半身は朝特有の臨戦状態になっていたのだから。
「大地君。なんか、固いのがスッごい当たってるんだけど、これって……」
「朝だから、生理現象だから! そういう意味じゃないから……」
「そっか……そうなんだ」
俺が焦りながらもいい訳をすると、綾香は納得してくれた。
「ふふっ……えい!」
すると、綾香は何を血迷ったかさらに俺の下半身に自分の身体を押し付けてきた。
柔らかい綾香のお腹の部分が当たって、とても気持ち……じゃなくて!
「なっ、何していらっしゃるんですか綾香さん??」
俺が戸惑ったように質問すると、綾香はキョトンと首を傾げたかと思うと、スっと腕を俺の首元に巻き付け抱き付いた。
「だって、ちょっと肌寒いから温かくてちょうどいいんだもん」
「いや、なら服着ようね」
「やだ、汗かいた寝間着なんて着たくないもん」
「新しい寝間着用意すればいいじゃん」
「起き上がりたくないの、私はこの大地くんとくっつきながらする惰眠を謳歌したいの!」
訳の分からない理由で服を着るのを拒否すると、綾香はさらにくっつく力を強めて、感嘆のため息を漏らしていた。
「大地くんは? 私とこうやってくっつくの嫌い?」
目の前でそんなトロンとした表情で言われたら……
「いや……嫌いでは……ない……」
そう答えるしかないじゃないですか……
「そっか、じゃあ、このままもう少し一緒に寝よ」
「お、おう……」
こうして午後の授業までの間、午前中は綾香との恋人のような惰眠を命一杯謳歌することになった。
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