ぱんだとぱんだ

第2話 「G」パンダとパンダ


 「ツギハ、アヅアエン、アヅアエン……」


 さっきのはなんだったんだろう?

 

 「ねぇ……」

 「キンキュウジタイダッタカラネ、オドロカセテゴメンネ」


 「だいじょーぶ!ありがとう!ボス!!」

 「全く……そのお気楽具合……見習わなくちゃね……」

 「カラカルにも、きっと出来るよ!」

 「あたしはあんたと違って、好奇心よりも、警戒心が強いの!!」


 「まぁまぁ、二人とも、ケンカは良くないよ?」

 

 「モウスコシデトマリマース!」


 「うわぁっ!?」

 「ぼ、ボスどうしちゃったの?急に止まったりして!?」


 「……ドアヒラキマース!」

 「ちょっとぉ!ちゃんと答えなさいよ!!」


 「ドアシマリマース!」


 「ま、待ちなさいよ!?」

 「閉まっちゃうよお!!」

 「みんな、早く行こ!!」


 ぼく達はモノレールから慌てて降りた

 良かった……忘れ物は無いみたいだ


 「キュルルちゃん、次の場所はどんな場所?」

 「ここなんだけど……」


 竹林の中に、滑り台が描かれている

 そんな場所……


 サーバルさん、ぼくのスケッチブックを覗き込んだかと思うと……?


 「いよぉし!行っくよー!!」

 「ちょっ!サーバル待ちなさいよ!!」



 ←→→↑↑↓↑B+B


 サーバルさん、何か聞こえたみたいでそれが気になって仕方がなかったらしく、音がした方向に走ったみたい


 描かれていた竹林の場所の手掛かり、見つかると良いな……


    「ぐー……ぐー……」


 「あそこから、何か聞こえるよ?」


 サーバルさんが開けた場所へ「行ってみよう!」と張り切っている


 「サーバル、セルリアンかも知れないわ!注意して」

 「大丈夫だよ、ほら……」


 誰か、切り株の上で眠っているみたい……時々、寝返りをうったりしてなんだか、気持ち良さそうだね……


 「うーん……だぁれぇ……あなたたちぃ……?」


 まぁ、自己紹介だね

 

 「わたしはー……ジャイアントパンダぁ……」

 「なんで、こんな所で寝てるのよ?」


 それは、ぼくも凄く気になる

 だって、寝ている間に、さっきみたいなセルリアンに襲われてしまうかもしれないのに……


 「へっへっへーん……わたしはぁ、どんな非常事態でも、ゆっくり眠れるんだー……ふわぁ……」


 「とんだお寝坊さんね……」 


 あらら、カラカルさん、色々と通り越したような顔しちゃってる……


 「ジャイアントパンダさん、ここに描かれてる場所知ってる?」


 一応聞いてみる

 すると……?


 「あぁ、そこならぁ、知ってるよぉ?」

 

 なんたる僥倖っ!これは正に……天恵とも言えるべきっ!!

 この出会い……


 「天に、謝するに値する!!」


 「ちょっとあんた、大丈夫?あ、この子多分時々変な事言うかも?気にしなくていいから」

 「キュルルちゃん……」


 「えっとぉ、まず……」

 「な、中々のマイペースっぷりね」

 

 「このまま、まっすぐいってぇ……」

 

 ジャイアントパンダさんの説明をかいつまむと、まっすぐ、みぎ……あれ、なんだかジャイアントパンダさんの様子が……?


 「それからぁ……ぐー」

 

 「寝ちゃった……」

 

 「カラカルさん、サーバルさん……」

 二人に協力してもらい、地面に倒れちゃったジャイアントパンダさんを、切り株の上に寝かせてあげる

 多分、この方が良いかもしれない……


 「ささ、くってる……ば……」

 

 「何か言ってる……サーバル、キュルル、どうする?」

 「うーん……」


 万事休すか!?

 

 「誰か来るよ!」

 

 茂みから、誰かが飛び出してきた!?

 

 「あー!ジャイアントパンダちゃん、またこんなところで寝てる……ここ、お気に入りなのかなー?」


 「へぇ、そうなんだ!あなた、この子のお友達?」

 「あ、ごめんなさい、わたしレッサーパンダって言います」

 

     「説明しよう!」

 

 「キュルル、いきなり何!?」

 

 レッサーパンダとは、別名「小熊猫シャォシンマオ」と呼ばれ、ジャイアントパンダが「大熊猫ターシンマオ」と呼ばれる様に小さいを意味する「レッサー」がその名に付帯されている

 ジャイアントパンダとは種類は別らしいです

 発見は、レッサーパンダさんの方が先の様ですが、ジャイアントパンダさんが発見されてからは「パンダ」は通常、ジャイアントパンダさんの方を指す事が多くなってしまった為「レッサー」が付けられたみたい


 何処かのちほーでは「炎の猫」と呼ばれています

 なんだか、かっこいいね!

 個人的には、上目遣いとかしてくれたらグッ!と来るものがある!!


 「あんた誰に話してるのよ!?」

 「詳しいんですね!?」


 「そ、そんな事ないよ!?」


 「わたしの事、教えてくれた代わりに、何かお返しがしたいのですが……」


 「あ、じゃあこの場所どこか分かる?教えてほしいんだけど……ジャイアントパンダさんに、聞いてる最中眠っちゃったから……」


 「お任せください!!その場所へ、案内しますよ!!」

 「ほんとに!?」

  「それに、眠ってる所起こしちゃうの、良くないし……」

 「たしかに、寝起きはあまりいい気分じゃない事もあるものね……」

 「じゃあ、決まりだね!」 


 かなり、はっきりとしたお返事が返って来たから、これは、期待できるかも!!


 ここから出るとき、ちらっと不安そうなレッサーパンダさんを見てしまった時、「ほんとに大丈夫かなぁ」とぼくは思った……


 ↑↓↑↑↑↓A+A 


 レッサーパンダさんに案内されてそこそこ


 なかなか辿り着く気配が無いね……


 「ねぇ、まだなの?」

 「もうすこしです!」


 山の上で……

 「うわぁ!素敵な景色だねー!キュルルちゃん、ここなの?」

 「うーん……ここじゃないね……」


 「あっれー?」


 なんだかんだで、もと居た所に帰ってきちゃった


 「あんた!ほんとは知らないんじゃないの!?」

 「ご、ごめんなさい!……実は……」


 レッサーパンダさん、ぼくにお返しがしたくてとりあえず歩いてみたんだって、でも、色々見せてもらえたし


 「か、カラカルさん」

 「なによ?」

 「ぼくは、色々見れたし、これはこれで良かったと思う。まだ時間はあるし、一緒にゆっくり探そうよ」

 「はぁ……サーバルのいいとこが移ったみたいね……良いわ、どうせならとことん付き合うわよ!」


 「あれ?サーバルさんそれは?」

 「あっちの広場に落ちてたの」

 「サーバル!いつの間に!?」


 何かの部品かな?

 レッサーパンダさんは、これがなんなのか分からないみたいだけど、この辺にたくさん落ちているみたい


 「もしかして、コレって……」


 確か、スケッチブックにあったような……?

 やっぱりそうだ!


 広場には、色々落ちていて、スケッチブックを頼りにみんなで、組み立ててみた


 そうしたら……


 「おお……!」

 「キュルルちゃん、それってその絵の場所とおんなじじゃない!?」

 「そうだよ!」


 そこには、少し離れて全体を見回すと、正に、その場面!


 「やったぁ!」

 「やったじゃない!」

 「ありがとう!レッサーパンダさん!」


 「嬉しくて……漢泣きですぅ!!おーいおいおい……」


 それから、木に登るのが得意な方達に協力してもらい、ブランコを作る事に成功したんだ


 「カラカル!いっくよー!!それー!!」

 「!?」

 「あれは……!!」


 勢い良く背中を押されたカラカルさん

 なんと!掴まえていた手を離して、立ち上がった!!

 そして、そのままぐるぐる回り始めたんだ!!

 ぼくは、夢を見ているのかな……!


 「いよっと……」

 「カラカルすっごーい!!」

 

 「これが……フレンズ……!?」  


 ぼくは、目の前の光景にただただ感動し、その身を打ち震わせる……

 

 「おおお!!カラカルさんすっごーい!!?」

 「じゃ、次はキュルルの番ね!」

 「え……?じゃ、じゃあ、お願い……カラカルさん、優しく……してね……?」

 「ちょ、ちょっとぉ……そんな目で見ないでよね……は、恥ずかしいじゃない……」


 カラカルさんに、そっと背中を押してもらう……

 一押しごとに……伝わってくる、その手の暖かさ……

 今、ぼくのハートはビートを刻んでいる……そう、それは正に……


      ジャパリビート!!


 「カラカルさん、ありがとう……」

 「もう……い、良いの……?」


 


 「あれって遊んでるの?」

 「しっ……静かに……今良い処なんです……!」

 

 そんな事をしたり、たくさん遊んで一休み


 「あー!いーたー!さーがしたよぉ?」

 「あ、ジャイアントパンダちゃん起きたのね?ねぇ見て」

 「うぅわあああ……!!」

 「あの子達と一緒に作ったの!」

   

 「一緒に遊ぼうよ!!」

 「良いのお!!?うわあい!やったあ!!」 

 

 ジャイアントパンダさんは、「お?」と、ブランコに目を付けると、ゆっくり一目散に歩いていった

 一緒に有るのに腰かけて……


 「よいしょっ……なんだろう……この丸いのぉ、しっくりくるぅ……ぐー……」


 「やっぱり寝ちゃうのね……」


 ギリギリと、おかしな音がした!


 「あ、ロープが!」

  

 「ジャイアントパンダちゃん!」


 レッサーパンダさんは、結び直そうと急いで掛け上ったけど……


 間に合わなかった……


 「ぐー……」


 ←→→→→↑↓B+B


 「ジャイアントパンダちゃん!?ケガは無い!?」

 「わたしはー、だいじょおぶー」

 「ごめんね……!」

 「ううん、良いの……それよりもーいつも寝てばっかりのわたしと、いつも遊んでくれて……」

 「ジャイアントパンダちゃーん!!おーいおいおい!!」


 「レッサーパンダちゃん、今度はーあれで……」


    「まぁあてえぇえい!!」


 「出たわね!おじゃまリアン!!」

 「カラカル!あのセルリアンを知ってるの!?」


 突然、三体のセルリアンが現れた!

 大きさは大体、ぼく達と同じくらいで丸っこくて、そして色がそれぞれ違う


 「特攻隊長!レッド!只今見参ゥ!」

 「切り込み番長!ブルー!あ、只今参上っっ!」

 「そして、イエロー!セキショクヤケイちゃんはお友達さ!!」


 「お呼びで?」

 「今は、呼んでいない!ごめんねー、後で遊ぼうねー……」

 「分かりましたわ。では、後程……」


 「あはは……」


 カラカルさんが一人の時によく現れて、その都度何かしら勝負を仕掛けて来るみたい


 「ここで会ったがなんとやら!いざ!尋常に、推して参るっ……!!」


 レッドさんから決まり事の説明を受けるぼく達、今回は


 「おにごっこ?なにそれたのしそー!」

 「左様!!古より伝わる、由緒正しきけもくらべにて、あ、そーうーろーうゥ!!」

 「狩りごっこだね!!負けないんだから!!」


 「あ、ひがあぁしぃい!!我等おじゃまリアンンンンゥ三人衆と、あ、にぃしいいい!!カラカルどのと三人衆ゥ!」


 「自分たちでそれ言う!?前にそう呼ばれるの嫌がっていたじゃない!!」

 「カラカルどの、ヒトの言葉にこんな言葉が有る。これはこれ、あれはあれ!にて、あ、そーうーろーうゥ!」

 「むっきー!!」


 パンダさん達は……


 レッサーパンダさんの膝枕でジャイアントパンダさんはお休み中みたい

 笑顔でぼく達に手を振っている


 ↑↓↑↑↑↑←→A

      

  「サバンナ……!」


      ダブルクロー!!


 「これで最後ね!タッチ!!」

 「パッカァン……くそぅ、今日は結構いい線行ってた気がしたのに……」


 イエローさんは、意外と最後まで粘っていたけど、サーバルさんとの息の合った連携で挟み撃ちをして、「おにごっこ」は終わった



 「お、おぼえてやがれー!!」


 セルリアン達は、草むらへと去っていく……


 あ、戻ってきた


 「また、なんかあるの?」

 「皆の者、よおく聞かれたし……」


 ひとつ目だからこれがどうなのかよく分からないけど、レッドさんは重い表情で話し掛けて来る


 多分……


 「バグ個体に纏わる話にて候……」


 「レッドさん、お、教えて……!」

 「サーバル?」

 「どんな小さな情報でも!!」

 「ち、近いで御座る!パッカァンしないでえ!!」

 「しないよ!!」


 サーバルさんは、過去に一緒だったとても大切な人の事、思い出せなくて締め付けられるような思いだとぼく達に話してくれた

 

 「あんた、時々何か耽っている事有ったけどそーゆー事だったのね……」

 「ご、ごめんなさい……」

 「良いのよ、サーバル……」


 大分前はフレンズを襲い、嫌われ者としてセルリアンは存在していたらしい

 それが、長い月日経った頃、共に手を取り合うようになったとレッドさんは、その歴史を語る


 しかし、最近からフレンズであろうと、同じセルリアンだろうと見境無く共食いをし始める存在が少しずつ現れるようになったんだそう

 各エリアのフレンズ達に協力をお願いして、原因を突き止めようとしている最中だと、ブルーさんは続ける


 このエリアではオオセンザンコウさん、オオアルマジロさんのダブルスフィアチームと呼ばれる方々が、探求に当たってくれているみたいだけど、なかなか突き止めきれずに難航しているらしい……


 ぼくの目的は「お家を探す」事だけど、それをやりながらいろんなフレンズ達と事件解決に辿り着けたら良いな


 最後にブルーさんが、何かに操られているようなフレンズを見掛けたと気になる一言を

 とても苦しそうだったと話してくれた


 「助けてあげたかった……でも、あまりにも強大な力の前には、我々は屈するしか道は無かったのだ……」

 「やられちゃったら元も子もないものね……」


 ←→→↑↓↑←→A+A


 「行こう……!次の場所へ!!」

 

 今はまだ分からない

 

 もしかすると辿り着く先に待ち受けている運命は、この場所、ジャパリパークの未来を変えてしまう


 そんな気がしたんだ……



 「ツギハ、カイジュウエンマエ、カイジュウエンマエ……」





  




 しゅっぱつしんこー!ジャパリパーク!!


 

 

 


 

 

 


 


 

 


  

 

 

  


 


 

 




 

   


 

 

 


 


 

 



     


 


 

 

 

 

 

 



 

 

 


 


 


 

 


  


 


 

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