マイドキュメント

傍井木綿

1

 明かりのない暗い部屋に私はうずくまっている。

 外の階段を上る規則的な足音、壁の中の配管を流れる水の音。

 閉め切った窓越しに届く外界の音は鈍くくぐもって聞こえた。私が何やかやと考え込んでいる間に世界は朝を迎えようとしていて、通りを走る車がしきりに路面を擦っていく。

 朝だよ、とエトは起床を促して毛布をめくった。眠れなくてもとりあえず、と被っているうちに体温が移ったそれは肌になじんで心地良かったのに、引きはがされた部分だけ冷めた外気に晒されて温度差に頭がついていけない。

 まだいいでしょ、とケイは再びの眠りに誘って毛布を掛け直す。帰ってきた温もりにほっと息をつきながら、こうしてぐずぐずと煮詰まっている時間に後ろめたさを感じる。煮詰まった身では毛布に染み込んで消えるわけにもいかない。

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