第21話 異邦人ジョンジュン①

 時は流れゆくもの。

 そして世界情勢も遅遅刻々と移りゆく。

 ジョンジュンの父親が、権力を握った叔父の命令により暗殺されたとき、世界はジョンジュンに対して同情的であったが、時が経つにつれ人々の関心は別のものへ移っていった。人々は徐々にジョンジュンのことを忘れてゆき、人々の話題に上ることもなくなっていた。

 それでもジョンジュンは、最悪の場合に備えての大事な政治的『駒』であったので、大事に保護され、監視されていた。

 叔父にとって、高貴な血をひき後継者として正当な権利を持つジョンジュンは目障りな存在でしかなく、とうぜん暗殺指令が出ているものと考えられていた。それゆえの保護であり、監視だったが、一緒に保護されていた母はその生活に耐えきれなくなり、心の病を発症した。

 結局、治療のために母は入院し、医師の勧めもあり、異国の別の病院へ移った。 そして姉は母の看病のために母とともに旅だち、ジョンジュンはひとり、異国の地に取り残された。


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