第17話 ジョナサン・リーの生い立ち

 ジョナサン・リーを語るとき、その父親の存在は大きい。

 ジョナサン・リーの父親は貧しい家庭の出身だったが、しかし夢を決してあきらめない人物だった。彼は働きながら大学へ通い、夢であるアメリカの大学へ30代になってから留学した。だから生活のために大学を休学し、IT企業で働かざるを得なかったのは、つらいことだった。

 しかしそのことが彼に幸運をもたらした。そのころ芽生えたばかりであったIT産業は、外国人であっても実力のあるものには門戸が開かれていたのだ。

 ITセキュリティーの会社を立ち上げたとき、大きなチャンスが彼を待っていた。ジョナサンの父親の会社は、最初は小さな会社であったが、IT産業の発展とともに業績を伸ばし続け、ついにはペンタゴンのITセキュリティーを担う会社にまで成長したのだ。そしてビル・ゲイツのように、一代で巨万の富を築きあげた。

 ジョナサンが成長するのと並行して、父親の会社も成長していったので、ジョナサンは大財閥の息子でありながら、普通の庶民の感覚も持ち合わせていた。

 彼の父親は教育に熱心な人でもあった。

 ジョナサンはアメリカの有名大学で教育を受け、経済学・政治学を修めた。

 良い意味でのアメリカの理想を受け継いだ青年だったのだ。




 




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