美しき生命

汗が落ちる。歓声が木霊する。それは耳鳴りに近い。


ドラムが爆発する。

「休むのは、すべて終わった後だ」


ゆっくりと立ち上がり、ぼんやりと明るい雨空に叫ぶ。

歓声が膨れ上がる。雨が顔に打ち付ける。


会場が揺れる。ベースが重なり、ギターが追いかける。悲鳴が混じる。

喜び、怒り、悲しみ、憎しみ、憧れ、絶望。すべての感情が昇華する。


ほとんど狂気だ。静かな狂気だ。

その中心を駆け上り、力の限り、飛んだ。


「音楽は世界を変えられる」

それを信じられない奴はここに来ればいい。感じてみるといい。


世界から音楽が消えない理由を。生きている意味を。




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