第15話 意外な同僚

「おっ、来たか……」


 乗ってきたタオル話を渋々中断して、三郎が立ち上がった。シャッターへ向かい、自働開閉ボタンを押す。



「もう来てます?」


 制服姿の亮二。

 シャッターが半分開いたところで樫木の姿を確認すると、彼は安堵の表情を浮かべて、額の汗を手でぬぐった。


 三郎に用意されたお茶をまたもや一気に飲み干し、お礼を伝えてから亮二は一息つく。


「樫木先生、来てくれてありがとうございます。 他にも呼ばれたが居るらしいのですが、既に到着しているそうです。早速行きましょう……あれ? ココ(工場)には3人集まるハズなのですが、後1人……」


 亮二と樫木が一点を見つめる――。

「俺じゃないぞ!」と口を一文字に結んだ三郎が、首を横に振った。


「まってぇぇー! ここだよー」


 この基地唯一の2階でもある三郎の住居から、数十分前に樫木と出会った少女が顔を出し、工場に直結している階段を駆け降りる。


「えっっ? 君が!?」


 目を見開いた亮二が、大袈裟に驚いた。


「三郎さん、この子もメンバー? ホントに!?」


「そうだ」と頷く三郎を確認した亮二は首を傾げながら、もう1度少女に視線を移す……。


 赤みがかった短い茶髪を2つに結った、丸い目が可愛いらしいどう見ても普通の小学生(子供)に思えるが『彼女も自分と同じ責務を背負うのか』と思うと、彼は息苦しさを感じた。

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