第40話 まともに使役できません

『使い魔』……魔力のあるものが絶対的に従属させ、使役する生物のこと。別に人間でも持っている者はいる。その者の魔力や性格に応じて使い魔も姿や能力が変わるが、基本的に魔力のある者の使い魔は能力が高い。ニャーニャー言ったり、漫才したり、チートチート言ったりする。全般的に騒がしいこと、この上ない。だからって使い魔を射出するんじゃない。かわいそうだろうが。




 魔力のある者は自分だけの使い魔をもっているものだ。使い魔というのは面白いもので、扱う者の性格や能力、性質によって姿形が異なる。どんな姿にせよ、使い魔がいるというのは一つのステータスでもある。


 もちろん、魔王たる我も例外ではない。

 いるには、いるんだが……。


「何か不服か? 主よ」


 我が使い魔は邪竜ボーガニック。

 魔界の瘴気の中から生まれた伝説の邪竜。

 ちゃんと出すと20mくらいある。

 賢い、強い、速いの三拍子揃っている。

 でも怖い。


「もう少し可愛くならんものか……」

「無理を言うものではない、主よ」


 使い魔にたしなめられた。

 うーむ、しかしビジュアルが……。

 そうだ!

 開発主任に相談してみるか。


「えっ? 邪竜の見た目を、ですか?」

「そうだ。以前言ったように可愛い感じに――」

「主よ、本気か?」


 とりあえず、ダメ元でお願いしてみた。

 どうなるであろうか?




 3日後、邪竜ボーガニックは見違えるような姿で帰ってきた。

 背中にドラゴンの羽が生えていて

 口元には立派な八重歯が生えていて

 不敵な笑顔を浮かべた

 幼女の姿がそこにはあった。


「これで満足か? 主よ」


 違う。そうじゃない。

 そういう方向の可愛さではない。

 こんなのが四六時中、我に纏わりついていたら

 変な疑惑が持ち上がってしまうだろうが!


 案の定、魔王城では私がロリコンではないか、という噂が流れた。

 グローシアが怒ったのは言うまでもない。




―――――――――――――――――――――

魔王様への意見具申コーナー

Q 主よ、満足したか? 邪竜ボーガニック


A うん……。なんか、こう……すまない。我が悪かった。許せ。

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