第7話 まともに直視できません
『
町での散策にうんざりした俺は、ようやく王城にたどり着くことができた。
「王様に謁見したいんだけど」
女神のペンダントのお陰かストレス無く事が進む。そこだけは感謝する。後はロクでもない。
しばらくして玉座の間に通された俺は、王と会うことができた。
「そなたが勇者か」
「はい、多分」
おそらく。あまり自信はない。むしろ女神に嫌われているのではないだろうか。概ね他人を不幸にするか、自分が不幸になっている。
「うむ、女神に選ばれし勇者よ! どうか魔王を討ち、世界に平和をもたらしてくれ!」
「善処します」
「な、何か気が抜けるのう」
王様は訝しげだが仕方がない。全力は尽くせない。というか全力を尽くすと俺が魔王になる。
「まあ、とにかく。王国としてもそなたを支援する用意がある。何か必要なものはあるか?」
気を取り直した王様は聞いてきた。わずかばかりの資金と武器で旅立たせない。この王様は優秀なようだ。こちらとしては欲しいものは決まっている。
「では、人を一人」
「人か」
「はい。できれば料理が上手な人が」
現状、食料を持ち運べない。なので食料を持ち運んでくれて、かつ料理をしてくれる人が必要だ。勇者は一人で旅をしてはいけない。
「うむ、分かった!」
そう言うと王様は近くの兵士に人を呼ばせに行かせた。
しばらくして一人の少女が現れる。
「クレアと申します」
クレアと名乗った少女。彼女の頭にはネコ耳が生えていた。ネコ耳美少女。大当たりである。ああ、俺は今初めて勇者になって良かったと思った。テンションが上がる。テンションが上がってくると色々と知りたくなる。
「『
俺は小さくそう唱えた。これを人に使うと色々透けて見えるようだ。
名前 クレア
身長 157cm
体重 43kg
色々な情報、本人が知りえないような情報を手に取るように分かる。罪深いスキルだ。
C/W/H 72/54/68
フムフム、あまり胸は無いみたいだけど全然OK。顔が可愛いし、尻尾生えてるし。こんな可愛い美少
性別 男
…………年。
ナニ:ある
「…………」
そうだよね。上手く行き過ぎてると思ったんですよ。何かあるとは思ったけど、まさかナニがあるとは……。
「よろしくお願いしますね、勇者様」
その笑顔はきっと輝くような笑顔だったと思うが記憶にない。直視できなかった。ついでに言うと『分析』の効果が切れるまでの1時間、俺はまともに人を見ることができなかった。
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女神への質問コーナー
Q 可愛い男の子が仲間になりましたが、どう接したらいいのか分かりません。教えてください。
A 仲間にどう接するか、それはあなたの心次第だと思います。一人で旅するよりも仲間と旅したほうが喜びも困難も分かち合うことができます。まずはお友達から始めてみてはいかがでしょうか? 一人旅は大変だろうなと女神はとっても心配でしたが、仲間ができたなら一安心ですね。良かったです。
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