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「澄斗は今黙ってて!」

『あなたは今黙ってて!』


「おい、流音黙れってなんだよ。ちゃんと説明しろよな」


 澄斗は怒りながら絵画を外そうと手を掛けるが、絵画は壁に貼り付きビクともしない。


「あれ? 外れねぇな?」


『やだ、私に触らないで。ハレンチ極まりない。どこ触ってんのよ!』


 壁に足をつき絵画を引っ張る澄斗の肩を、あたしは背後からチョンチョンと叩く。


「あのさ、どうやったって外れないから。クロス破れるからやめてくれる?」


「じゃあ、美術室からどうやって持ち出したんだよ!」


「ていうか、絵画が宙に浮いたのを見たよね」


「……見たけどさ。お前マジック使えんの?」


 これがマジック?

 バカじゃないの?


「澄斗はあたしの言動は妄想に過ぎないって思ってるかもしれないけど、これが真実なの。美術室には噂通り幽霊がいるわ。この絵画を描いたのはその幽霊なの。彼の名前は唐沢樹那。南仏中学校の元生徒よ」


「美術室の美男子幽霊が本当にいると?」


「唐沢先輩にしかこの絵画を外すことは出来ないの。あたしにも理由はよくわからないけど、唐沢先輩は呪いを掛けられ美術室に閉じ込められている」


「呪い?」


「信じなくてもいいよ。あたしの話なんて馬鹿馬鹿しいと思ってるんでしょう」


「俺は何も言ってないだろ。勝手に解釈するな」


「だって、バカにした目をしてる」


「この目つきは生まれつきだっつーの」



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