第2話 コタツと美女と自動人形

 俺はまどろんでいた。


 二人の美女に寄り添われている。

 コタツの中で。


 その美女は俺に胸を寄せ、頬に唇が触れる。そして脚を絡めてくる。俺の心臓は激しく鼓動し、そして鼻血が出そうなほど興奮していた。


 コタツの中で二人の美女と戯れる。

 こんな、極楽浄土を味わってもよいのだろうか。


 疑問が脳裏を過ぎる。


 しかし、俺はこの快楽の中に身を置くことにした。


 ドタドタドタ。


 階段を下りてくる激しい足音。

 妹の知子だ。


 何故妹がここにいるのだ。

 いや、一緒に住んでいるんだから当然か。


 もう一人、静かに階段を下りてくる人物。


 誰?


 思い当たる人はいない。


 我が家にいない誰か。


 邪魔をしないでくれ。

 俺の快楽は、今まさに始まろうとしているのだから。


「起きやがれ。この馬鹿兄貴!」


 鼓膜をつんざく知子の叫び声。


 何だ。

 俺が何をしたんだ。


「ミミちゃん。やっちゃって」

「分かりました」


 ドゴーン!!


 凄まじい轟音が鳴り響き、俺の体は途端に寒気にさらされた。俺にくっついていたはずの美女の姿は何処にもなく、部屋の隅にはこたつ布団とバラバラになったコタツの破片が散乱していた。


「もう、コタツで寝るなって。何回言ったら分かるの?」

「ずる休みは許しません」


 目の前には仁王立ちしている妹の知子。

 そして、最近妹と行動を共にしているというトラントロワ型自動人形がいた。


 夢。

 あの美女は夢だったのか。


 そうか。コタツが擬人化していたのか。


 俺の極楽は無残にも破壊された。

 夢と現実の両方で。


 ハックショーッい!!


 盛大なくしゃみが出た。

 一緒にドロリと鼻水も噴き出した。


「私、学校に行くからね」


 颯爽と部屋を出る妹と自動人形。


 心の中に寒風が吹きすさぶ。

 俺に残されたのは、最悪の体調だった。


[まだ続くと思うのよね]

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