The life
キザなRye
プロローグ
0
二月十四日、それが僕の運命の日だった。世間的にはバレンタインだとか騒いでいるものの、僕はこれからの運命を決める高校入試の日なのである。僕は一つ前の模試で思った通りの点を取れ、このままなら本番でも大丈夫だという自信を胸に抱き学力検査に望んだ。問題用紙を開いてみるとそこには毎年とは異なる傾向の問題が多々存在していた。五教科の内半数以上が頭よりも精神的に害を与えた。これは不合格になってしまうのだろう、それが僕の解いた後の感想だった。
翌日の十五日は一部の高校しか実施をしない特色検査の日だった。毎年各高校が問題を作成していたが、今年からは作成での付加が強すぎるとのことで教育委員会が作ることになっていて毎年の傾向をくみ取った上での問題であるだろうと高をくくっていた。しかし、それは僕個人的な推測にすぎず、その推測を裏切る形のものを作成されてしまったので、焦ったというのが僕の意見である。解く上で本当にこれでよいのか、合っているのかと何度も自問自答を繰り返して解答していった。
特色検査が終了後に帰宅し、頭の片隅いや頭の大半を占めている学力検査の点数を自己採点して知ろうとパソコンを立ち上げ、インターネットで模範解答を検索して探した。模範解答を見つけると点数を模範解答と配点表を基に付けていくと英語93点、国語86点、数学62点、理科87点、社会87点、合計415点と採点結果が出てきた。解いた時に思ったよりも出来ていたことに驚きというかびっくりした。昨年の
高校受験最後検査対象である面接が行われるのは二月の十八日で、学力検査や特色検査から中二日だった。僕は少しその中二日の間に気持ちが切れていて高校に行くことが億劫になっていて早く終わって欲しいというのが本心としてあった。試験会場に行くと練習とは違ったやり方を要求された。まさかと思いつつも指示の通りに面接を行った。いつもはあまり緊張するタイプではないのだが、珍しく少し緊張してしまって受け答えがしっかり伝わったのか、質問されてから答えるまでに時間を空けてしまってこんなに時間空けて減点されないかなど心配事が頭に浮かんで消えないままで面接をしていた。ただ救いとなったものは試験官が僕の話に対して多少頷いてくれたことでこれならどうにかなるとポジティブな気持ちを引き出してくれた。
面接を終え、他の受験者の声が聞こうと思ったわけではないが耳に入ってきて学力検査が378点ということで415点を取った僕としてはこれならどうにかなるのではないかという合格への可能性を感じ始め、自信が体のどこからか沸き出してきた。残りできることはもうない、合格発表の二十七日を待つのみだと僕は合格発表までの一週間程度を過ごす思いを持ったのだ。
合否が公表される日は心が騒いでいた。その日の夜には二度不合格という通知を貰う夢を見た。鬨俵高校に着いた頃には心臓が破裂する勢いで拍動していた。受験番号にあわせて五つの列に別れて発表の時刻である午前十時を旧体育館で座って待った。しばらくすると男性の先生が
「今から合否通知書を渡し始めます。」
とおっしゃった。遂に合格発表がスタートしたのだ。先程言葉を発された先生がちょうど僕の横を通ったので首からかけているネームプレートを見ると校長と書いてあった。いや、そんな事に興味を持っている余裕はない。少しでも気を落ち着かせなければと好きなアニメの画像をリュックから取り出し、眺めた。心臓よ、音を抑えろ。もっと優しく動くんだ。そう何度も自分の体に話しかけ、自分の心を落ち着かせた。前に並んでいた人が段々少なくなってきた。ヤバい、ターンが回ってきてしまう。まだ心が落ち着いてない。これで合否を確認することになる。そのままの状態でターンが回ってきてしまい、合否通知書が入った灰色の封筒と答案の写しが入った青色の封筒を貰った。歩きながら恐る恐る灰色の封筒から紙を上の方へ動かし透明の部分になっているところから合格という文字を見るとへー、合格したんだと軽く思った。嬉しいとかそういう感情が生まれてくるわけでもなくただ合格したという事実を突き出された。その後、合格者のみに渡される書類を受け取るために並んでから青色の封筒から答案の写しを取り出すと、特色検査が66点、面接は100点と書かれており学力検査の方は自己採点の結果と一点たりとも変わりなかった。但し、名前をよく見ると少し違かった。合格通知書などの書類をもらうときに名前が一文字異なっていると話をしてみた。すると、
「では預からせていただきます。訂正して再度印刷します。」
と青色の封筒ごと渡した。貰った書類の中身が全てあることを確認すると、答案の写しの訂正後のものを貰うために話をして職員室の前に行って待った。少し待って訂正されたものを貰うと鬨俵高校をあとにして家へと帰った。僕は合格の書類を貰った後も合格したんだという実感が湧かなかった。ただ少しずつ実感していくんだろうと思った。
合格した実感を少しずつ感じているといつの間にか三月十一日、そう卒業式の日がやってきた。まだまだ卒業したくないという気持ちがある反面、本当にこれで卒業なのかという疑問のようなものが残りの半分を占めていた。明日からはここにいる仲間と会うことはないのか、そんな気持ちが湧いてきて言葉が出ないように感じた。今振り返ってみると中学校での三年間は小学校で過ごした六年間の半分とは思えない高スピードで過ぎ去ってしまった。一年生の入学式からオリエンテーション、角村遠足、関西への修学旅行、そして卒業式まで様々な思い出がよみがえってくる。そのどれもにかけがえのない友や恋する人の姿があって、その友がいてこその思い出と言えるものだった。涙が出てくるというわけではないが、かけがえのない友と歩む道というのは今日で崖になってしまうのかいやまだまだ少しずつ道が延びていくはずだと心の奥底から確信して我が母校である
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます