君と私で、未来を紡ぐ

竜巻Girl

さえない日常

 ときは西暦2065年、人とAI、いわゆる人工知能が共存する世界。

街を歩けば、あちこちにロボットがいて人とともに仕事をしている。この世界ではさほど特別でも何でもない、ごく当たり前のこと。

 これは、そんな時代に生きている一人の中学生の女の子と、彼女のパートナーとなったバーチャルシンガーソフトのお話。



「わわ、もうこんな時間! 行ってきます!」

ドアを少々乱暴に開けて、私は慌てて電子スクーターに乗り込んだ。ああもう、集会があるのに寝坊するだなんてほんとついてないや……

制限速度を超えないようにしながら、学校までスクーターを走らせる。片手でハンドルを握り、もう片方の手で菓子パンをほおばる。本当はいけないんだけれど、間に合わないからもうこれは仕方ない。

 やっとのことで学校にたどり着き、駐車場に自分のスクーターを止めようとした、その時だった。

「うわっ!?」

急ブレーキをかけたからか、私は思い切り生け垣に突っ込んだ。そのはずみで鞄から電子教科書やら音楽プレイヤーやら、持ち物が全部飛び出て地面に散らばった。

「いたた……」

「おやおや、大丈夫かい」

幸い、近くにいた用務員さんが散らかった荷物を拾ってくれた。

「ありがとうございます……はぁ、この調子じゃ完全に集会に遅刻だ……」

「集会? 確かそれ、明日じゃなかったのかい?ほら」

用務員さんから見せられた予定表を見て、私は愕然とした。

「うそおおおおおお!?」

なんてこった。何のために急いできたんだ。ああもう、今日はまったくもってついていない……

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