第5話 珍客
結果ならすれば大漁だった。
だが、ここで重要な事に気が付いた。
刃物と火がないのだ。
どうしよう…流石に生で食うのは気が引ける。
だが、背に腹は変えられない!
ええい、ままよ!俺も男だ!生で食ってやる!
川の中で拾ったその辺の尖った石と円い石に擦り合わせ研ぐ。
まず、尻の穴から石ナイフ(笑)をアーッ♂して頭の方まで裂く。
内臓を取り出し水で良く洗ったら大雑把に小骨を取り除き漂流物の葉っぱをきれいに洗ってに盛り付けて完成。
いただきます。
身はボロボロで何とも言えない味。
だが質より量だ、とにかく腹に入れなければ。
ふぃー…満腹になって横になる。日は燦々と輝いて気持ちいい。
暑くも寒くもない最高な環境だ。
少し昼寝でもしようかな。余ってるスライムパウダーの袋を枕代わりにして目を閉じる。
うとうとしているとがさごそと音がする。ん、なんだろ?
そこには緑じゃなくて青いスライムが居た。
俺が食べた魚の骨や頭を消化していた。
半透明だからすげぇくっきり見える。うへぇ……
俺に気付いたのかこっちへ近寄ってくる。ぷるぷるしてて少し可愛い。俺は身構えるも敵意はないみたいだ。
俺は漁で余った魚を一匹掴むと青スライムへ投げる。ぴきぃーと喜んだ様な声がして魚を丸飲みした。うげぇ…溶けててキモい…。
ぴきぃーぴきぃーと泣くのでもう一匹、もう一匹とあげると脳内で電子音が響く。
『_スキル-テイムを覚えました。』
え?テイム?ってことは俺がこいつの飼い主ってことか?
『ぴきぃーぴきぃー(主殿!主殿!)』
なんか青スライムの鳴き声と被って可愛らしい声で俺の事を呼んできた。
「んーと、主って俺?」
『ぴきぃーぴきぴきっ!ぴぃーっ!(そうでござりまする!魚を分けていただき有り難く存じまする。一生お仕え致しまする!)』
なんかすげぇ武将みたいなしゃべり方をするスライムだなぁ…いや、可愛いけどさ。
「良く分かんないけどよろしくな、俺は空人そらと!君の名前は?」
『ぴきぃーぴきぃー!ぴぴぃーっ…(拙者はブルースライムでござりまする。固有の名はござらん。宜しければ主殿にお付けして頂きたい。)』
「名前かぁ…」
うーん、なんかカッコいいなまえを付けてあげたいけれど、俺に名付けのセンスはないからなぁ…。昔、家で買ってた犬もポチだったしな…
いいや、ブルースライムから取ってブルースにしよう!強そうだし、カッコいいから!
「ブルースってのはどうかな?ブルースライムから取ったんだけど。気に入らない?」
ぷるぷる震えだしたスライムくん。なんだろ、嫌だったのかな?
『ぴぴぃーっ!ぴきぴきぴーっ!(そんな素敵な名前を頂けるとは!拙者感動したでござる!拙者はブルース…ブルース…ブルース…)』
何度も名前を反復し身体全体で喜びを表現するスライムくん改めブルース。すごく嬉しそうで何よりだ。というか何か光り出した…?
『ぴぃーぴぴぃー…(うっ、あ、るじ…どの…)』
「お、おい、ブルース大丈夫か?」
思わず声を掛ける。心配で声が上擦ってしまった。
やがて光りは徐々に弱くなり……
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