漫才のネタを作った

星浦 翼

オリジナル漫才ネタ『ゲーマーとオカン』


A「私、最近ゲームにハマってるんですよ」


B「どんなゲームなん?」


A「スマホでできるソーシャルゲームですね」


B「ふーん。俺は課金とか怖くて遊べんけどなぁ? でも、本人が楽しめてるならええけど。ちょっと画面見せてーな。お? お前ランク千超えてるやんけ! ゲーマーやなぁ」


A「いやいや、私なんかヒヨッコですよ。ランク上げもインフレ進んでるし、私のフレンドなんか、ランク98京7085兆2525億5万4千8百5十2になったとこですよ?」


B「ランク高すぎやろ!? そんな桁表示できるんか!?」


A「インフレもまたソシャゲの醍醐味かも知れません。ああ、そういえば面白い事があって、話してもいいですか?」


B「駄目や」


A「え?」


B「だから駄目やって」


A「なんでですか?」


B「普通に話したら普通に面白いだけやん? だから、役になり切って臨場感を出して欲しいねん。それなら話してもええで?」


A「……臨場感いります?」


B「いるいる。情景とか感じられた方が面白いからな」


A「そうですか? それじゃ私がゲーマーやりますね」


B「んじゃワイはオカンの役やるわ」


A「え? 何?」


B「へ?」


A「いや、へ? じゃなくて、オカンって何なんです?」


B「オカンは母親や。オカンはゲーマーには必要やろ?」


A「え? オカンいりますかね? 私の話にオカン出てこないんですけど?」


B「いやいや、やってみたらオカンの大切さが分かるから」


A「そ、そうですか? それじゃオカンの役お願いします」


***


A「よーっし、ゲーム始めよっかな! ゲームアプリを起動して――」


B「まーたコウちゃんったらゲームばっかりやっちゃって! いっつも家事は私に任せきりだし、少しぐらい家事も手伝って――」


A「ちょ、ちょっと、ちょっと待ってくれません!?」


B「どうしたんや?」


A「いやいや、やっぱりオカンいります? そもそも私の名前コウじゃないですし、もっというと話が進まないんですけど?」


B「え? お前オカンの大切さが分からんのか? お前をここまで立派に育ててくれたんは誰やねん!?」


A「ああ、いや、そのオカンは大切なんですけど? その、今は必要ないというか」


B「お前がそんな薄情な奴だとは思わんかったわ!」


A「いやいや、いりますよ、オカン。大切ですよ!」


B「せやろ? じゃ、もっかい行くで?」


A「えぇ? わ、わかりました。でも次は邪魔せんといてくださいよ?」


***


A「よーっし今日もゲームで遊ぶぞー!」


B「まったくコウちゃんったら毎日ゲームばっかりやって! ゴォオオオオッ! ゴォオオオオオオオッ!!」


A「ちょ、ちょっと待ってもらえません?」


B「なんやねん?」


A「いやいや、そのゴォオオッ!って何なんですか? めっちゃうるさいんですけど?」


B「そんなもん掃除機に決まっとるやろ」


A「え? ああ、さっきのオカンがしてた掃除機の音なんですか!?」


B「せやで?」


A「いやいや、せやでじゃなくて! 掃除しなくていいっすよ!」


B「はぁ? お前掃除の大切さを知らんのか? そんなんやから部屋がゴミ屋敷になるんやぞ?」


A「さっきから正論っぽく言ってますけど、それ全く、今の話と関係ないですからね? むしろ私の方があなたより綺麗好きでしょ?」


B「そうかぁ? ならええんやけど」


A「それじゃ掃除はゲーム前に済ませますわ。それでいいですね?」


B「ええで」


***


A「よっし! 掃除も終わったしゲームやろっかなぁ」


B「またコウちゃんはゲームやって。それにしてもこの部屋寒いわねぇ。ファンヒーターぐらいちゃんと点けなさい!」


A「……」


B「どうしたのよコウちゃん? 怪訝そうな顔をして?」


A「……なんでもないよ、母さん。ヒーター点けるよ。これで文句ないだろ?」


B「あらー本当にコウちゃんが優しくて助かるわぁ。なんで寒かったか聞いてくれる?」


A「……いいよ? どうせ外に買い物でも行ってたんだろ? まだ冬だからなぁ」


B「いやねぇ、そうじゃないのよ。さっきテレビでホラー特集やっててねぇ? それを見てからどうも首筋とかが寒気がして、いやー怖かったわぁ。オカンだけに悪寒がするわぁ!!」


A「じゃかましいわ!! オカンいるぅ!? 今の話にオカンいりませんよね!?」


B「いらんかなぁ?」


A「いりませんよ!! もう私、反抗期でええですわ。オカンは私の部屋に入らないようにお願いします」


B「そぉかぁ? オカン悲しむでぇ?」


A「想像上のオカンが悲しんでもええんです! 始めますよ!」


***


A「よーっし、オカンもおらんし伸び伸びとゲームやるぞぉ!」


B「少しいいか?」


A「……はい?」


B「母さんから聞いたんだが、お前、反抗期になったんだって? いや、多感な時期にはありがちだから、なかなか難しい問題なんだがな?」


A「誰!? 誰なんですかアンタ!?」


B「父さんにアンタはないだろう!?」


A「親父かよぉおおっ!! もうええわ!! もう普通に話しますよ!? 実はこのランクの高い人なんですけど、あなたと同じ苗字でゲームしてるんですよ。本名じゃないとは思いますけど、なかなか面白い偶然でしょ?」


B「……これ、ワイのオカンや」


A「結局オカンの話かよぉおおおっ!!」





  おわり

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る