アンリミテッド! ~最強ノ部活~

なつすし

プロローグ

 野球と、空手が――戦っていた。


 野球のユニホームを着た男と、空手着の男が向かい合っている。


 素手の戦い、ではない。


 野球のユニホームを着た金髪の若者は、右手に赤いバットを持っていた。


 凶器を持った男と、拳を握る男が向かい合い、互いに敵意を剥き出しにしている。


 喧嘩ではない。


 演劇でもない。


 それは――格闘技。

 まったく新しい、『最強』を決めるための戦いだった。


 それは、生徒数一万人強を誇る、とある有名私立高校で行われている。


 その戦いは、こう呼ばれていた。


 アンリミテッド。


 ここは、最強の部活を決めるための場――


 その対象は、格闘技、球技、陸上競技といった体育会系だけではない。

 音楽、美術、演劇などといった文化系の部も含まれる。


 体育会系と文化系の垣根すら超えた、際限なき究極の戦い。


 それこそが『アンリミテッド』なのだ。


 ルールはもちろん無制限、武器の使用も認められている。


 そんな戦いを、皆口彰みなぐち あきらは口を閉じるのも忘れて唖然としながら見守っていた。


(ぼ、僕は夢でも見ているのか……!?)


 彰は信じられなかった。


 野球VS空手といった異次元対決が繰り広げられている事はもちろんだが、それ以上に――


(野球部が、空手部を圧倒してる!?)


 その事実に最も驚かされる。


(い、一体、何なんだ、アンリミテッドって!?)


 混乱する頭を落ち着かせ、情報の整理するためにも……


 彰は、今日の出来事を朝から思い返してみる事にした。

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