第13話 騎士団長誘拐編


騎士団長「う、ああ、な、に?」


騎士団長「うっぷ、気持ち悪い……」


騎士団長「ここ、普通の日本家屋だよね……? なんで私……知らない家の布団で寝かされて……」


騎士団長「たしか……養老乃瀧で飲んでて……それから記憶が」


騎士団長「服はちゃんと着てるし……何もされてないよね?」


 に ゅ る


騎士団長「!?」


 に ゅ る に ゅ る に ゅ る に ゅ る


騎士団長「しょ、しょしょしょ!」


騎士団長「触手!?」


騎士団長「なに、これ!? エロゲーみたいな展開? こ、心の準備が……!?」


触手「ああ、お目覚めですか。お水持ってきましたよ」ニョロー


騎士団長「……?」



△ △ △


騎士「団長が出勤してこなくなって早二日か」


女騎士「死守した松茸を証拠物件として回収されて泣いてましたもんね……。今のところまったく連絡つきませんよ」


騎士「食い意地張りすぎなんだよあのカニカマ女……まあどうせ群馬さえこなきゃアイツただの置物だしな。パソコンでネットやって時間潰してるだけだし」


女騎士「そんなんでお給料よくもらえるなあ……」


騎士「まあ暇なのは俺らも変わら……おっと県境に偵察にでてた騎士2から連絡だ」


騎士「おっす、どうせなんもねぇだろ?」


騎士2『いいや、大アリだ。今から送る画像を見てくれ』


騎士「……なんだこりゃムー○ンか? パチモンくせーな。なんか縮尺おかしくねぇか? 横にタバコの箱置いてくれよ」


騎士2『これはムーミ○じゃない。野球チームである群馬○イヤ○ンドペガサスのマスコットの球○君だ』


騎士「え? なに? よく聞こえない!? いやだからタバコの箱」


騎士2『そんなもの役に立つか。目測で30メートル以上はあるんだぞ』


騎士「……コラだろ?」


騎士2『残念ながらこれは刃牙漫画じゃなくて現実だ』


騎士「」



△ △ △


触手「どうぞ朝食です。お口に合えばいいのですが……」ニョロー


女騎士「あ、どうも……」


女騎士「……う、体が熱い! まさか媚薬が!」


触手「実家から送ってきた新巻鮭の粕汁です。暖まるでしょう」ニョロニョロ


女騎士「あ、はい……」


女騎士(なんか思ってた誘拐と違う……)


△ △ △


騎士「群馬からビデオが届いたぞ……VHSだ。矢文じゃないとはな」


女騎士「物置からデッキだしてくるの大変だったなあ」


騎士2「あの群馬が電子機材を使いこなすとはな…今まで槍と盾と投石具で攻めてきていたのに」


騎士「再生するぞ」ピッ


白衣の群馬人『我々群馬の侵攻を防ぎ続ける埼玉の騎士団諸君よ。おまえたちの抵抗も今日で終わるだろう』


白衣の群馬人『あれは群馬の最新科学を結集して作り上げた最終侵略兵器だ』


白衣の群馬人『まず深夜の墓場で、ライオンの骨と薬草と墓場の土を混ぜたもので魔法陣を描く』


白衣の群馬人『中心で盛大に火を炊き○馬くんの着ぐるみを置いて、周りで男女が三日三晩踊り狂い焼きまんじゅうを貪り食いながら呪文を唱え続ける』


白衣『そうして出来上がったのがあの巨大球○くんだ!』



騎士「……こいつなに一つ科学的なこと言ってねーぞっ!」


女騎士「呪術的なものを科学といっているのでしょか……?」


騎士2「現在この巨大キ○ウマくんは非常にゆっくりとした歩行だが群馬と埼玉の県境を超えて侵入している。しかもこの足元をみてほしい」


騎士「あ、木に焼きまんじゅうが実ってる!」


騎士2「しかも周りの気温が下がり強風が吹いている」


女騎士「上州空っ風……!」


騎士2「恐らくは歩いている土地は群馬のものになってしまうらしい。しかもこの進行方向には県庁所在地である浦和がある。もしそこまで到達されてしまえば埼玉は……」


騎士2「すべてがGグンマになる……!」


騎士「スパゲティ屋は全て大盛りデフォに……!」


女騎士「十万国まんじゅうが十万国焼きまんじゅうに……!」


騎士「だ、団長だ! 団長呼んでこい! こんなわけのわからないやつを相手するのは団長の仕事だろ! 連絡つかねーのかよ!」


騎士2「メールも電話も通じないか……一体どこに」


女騎士「団長の行方がわかりました!」


騎士「どこにいたんだ!」


女騎士「ユーチューブの上げられた動画で吉見百穴遺跡でアイスクリームとおでん食べてます!」


騎士「またこのオチかよぉ!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る