漫画家と編集さん

傘井

第1話 さよなら編集さん

俺田中淳也は漫画の編集をしている27歳だ。2年前にやっと一人の漫画家をヒットさせどうにか仕事が軌道に乗ってきたと思ったんだが、この担当している漫画家が相当な困り者で俺は今絶賛頭を抱えている。 そう高坂さかえあの下ネタ漫画家のせいで


高坂は仕事場の椅子に自分の手首がはめた手錠の片方を掛け漫画を描かない意思を堂々と表していた。

「あの先生なんで漫画描かないんですが、読者が待ってますよ」

俺が優しく声を掛けて説得するもの高坂は座ったままがたがた暴れながら

「わたしはもう下ネタ漫画など書かないあだちみこと先生のような野球ラブコメを書くのだ」

と奇声を発し全く俺の話を聞こうとしなかった。刻一刻と時間は過ぎ締め切りの時間は迫ってきた、こうなったらもうやけくそである。

「分かりました。ではラブコメ描いてもいいです」

高坂はそう聞くとテンションが上がった犬のように飛び跳ねたが椅子に固定されてるため、そのまま椅子ごと倒れた。しかし

「ふうーーーやったーーーもうちんこって連発しなくていいんだーーーやふーー」

ととても28の大人とは思えない低脳な発言を繰り返していた。

「ですが先生ただ一つ条件があります。猫耳メイド姿で執筆してもらいます。」

俺はこうすれば猫耳メイド姿になりたくなくて高坂が今連載中の「たかがレンコン」の執筆に入ると読んだのである。だが俺は一つ大事な事を忘れていた。

「なにそれ全然平気だよ田中も着るか猫耳メイド服丁度お前が切れるぐらいのもあるし」

そう高坂は漫画家でもあり趣味でコスプレヤーということに。

「えっでも俺猫耳アレルギーで猫耳とかしたらしぬというか」

俺が意味不明な事を言ってるうちに高坂は自分の胸に挟んでいた手錠の鍵を口でくわえ器用に自分の手首に掛けた手錠をはずした

「田中よお前の猫耳姿を見たくなってきたぞ」

そう高坂は発すると手錠を持って駆け寄り俺の手首にはめそして残った方を近くにあった作業の机の脚に掛け俺を完全にその場から動けなくした。

高坂はもうそれはご満悦表情を見せつけ。ママが着替えさせてあげますからねと赤ちゃん言葉を俺の耳元で囁きながら猫耳メイドに着替えさせひたすら俺の恥ずかしすぎる姿をスマホで激写し、それから20分たったら仕事机にむかいラブコメを書き始めた。俺は逆上して

「高坂よ下ネタ漫画がいきなりラブコメ路線変更したら読者困惑して打ち切り10週コースだからなやめろーーと」

必死に泣きながら叫びつつけたがスピッツを聴きながら作業する高坂には届かず締め切り一時間前までこの状態が続いた。

俺はどうにか手錠を外され高坂が書き上げたラブコメと共に高坂の仕事場から解放され、時間もなかったため仕方なく内容を見ずに高坂の上げた原稿を完成原稿として提出した。


後日

「先生狙ってやったでしょうあれ。内容普通に下ネタ漫画だったですけど」

高坂は椅子の上であぐらをかきながら自信満々

「まあねてかあの時すでにあの原稿95パーセントできてたんだよね。アシスタントいない時点で気付きなさいよ田中よ」

俺はこみ上げる怒りをぶつけながら質問をふっかけた

「じゃあれですか先生は俺を猫耳メイドにして楽しながら原稿残りの5パーセント書くためにあんな茶番をやったんですか」

高坂は両手で大きくを丸を作り裏声で大正解と笑顔で俺に言い放ちこう続けた。

「まあでもね田中があんな滑稽な猫耳姿見してくれたから、最期の会心な出来のオチができたのよ」

そう言って微笑み彼女がかわいいなと思ってしまった自分に腹を立てたが今週の「たかがレンコン」がアンケート一位をとったという知らせをきいて少し腹の虫も収まった。この物語は俺田中淳也と女性下ネタ漫画家高坂栄のこのような茶番過ぎる戦いの記録である

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