第16話 疲労

 あたしは有り金を叩いて呼んだヒーラーにひたすら愚痴をこぼしていた。相部屋だと言われたこの部屋が実質個室で本当に良かった、と思いながら。




「――で、這ってでも役所に行けって言われたんですよ。おかしくないですか?」

「貴女は頑張りすぎなのよ、休むべきときには休むことも必要。それを教えてくれたのが貴女の腰。だから私が貴女の腰を癒している。わかる?」




 ……?




「貴女は身も心も疲れ切っている自覚がないの」

「え、あたしそんなに疲れてます~?」

「そうね、今日最後の仕事がこれじゃなかったら、2ね」

「それで貴女、結局どうしたの?行かなかったの?」

先生ヒーラーが来てくれなかったから、今日は行けてないです」




 少し膨れっ面をしながら、言った。明日には役所に行ける程度に快復するわよ、と言った先生は、帰って行った。あたしはその夜、ぐっすりと眠った。

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