第10話 面談

”軽い”面談は、寮に案内されてから行われた。


「朝起きて掃除がありますが、できますか?」

「はい、ずっと母子家庭でしたので、大丈夫です」


 嘘だ。掃除なんてしたことない。


「食事は交代制で作ることもできますが、料理はできますか?」

「毎日自炊です。何でも作れます!」


 こちらは自信があった。あたしの料理は、冒険仲間から『料理屋に転職した方がいいんじゃ』と言われるほどの腕前。


 その他、寮生活の規則を聞かされて、早速相部屋に入る――が、相部屋と言われたその部屋、半分はがらんとしていた。


 あたしは少し安心して、夕飯を作りますと申し出た。


 シーフードピラフを炊きながら、魔力草たっぷりのスープをことことことこと。


「すごーい! 美味しい!」

「ピラフって、炊飯器で作るんだ!?」

「スープの出汁が最高! なにで出汁取るの!?」


 好評だった。


 あたしは、満足して眠りに就いた。これならやっていける、そう確信していた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る