19冊目☆☆★ リサ・クレイパス著「春の雨にぬれても」

 勝手にレーティング:R18


「壁の花」シリーズ最終巻(と言いつつ、スピンオフで「壁の花の聖夜」という続編短編が出ています)

 ヒロインがデイジーなので前作で登場したキャムがヒーロー?…と思いきや、彼とは全く別の、真面目で努力を惜しまない青年実業家のマシューがヒーローです。このシリーズでは初めての、ずっと以前から一途に想い続けていた系ヒーローですが、彼には秘密があって、それが理由でデイジーとの結婚を頑なに拒みます。

 中盤までの、両片想いのときのふたりのやりとり——というか、ヒロインの発言にヒーローが返す言葉がとても面白くて魅力的です。ぶっちゃけ想いが通じあった後のhotなシーンはいらないくらい、普段のふたりのやり取りに萌えました。

 評価としては☆3つでもよかったんですが、ヒーローが昔、痩せこけて神経質そうに見えたというだけで絶対結婚しないと言い張ってたヒロインが、久しぶりの再会でイケメンになっていたヒーローに惹かれるところなんかは「このヒロイン最低だな」って思うもののお約束的なものだと軽く流して。☆をひとつ減らしたのは、ヒロインの姉のリリアンがどうにも好きになれないからです。毎回最終的には和解して終わるとはいえ、自己中心的で勝手な憶測だけで人を罵倒して批判するリリアンには本当に腹が立ちます。少しでも良いから作中で何の非もない相手を侮辱したことを反省して相手に謝罪するシーンを入れてくれればこんなにモヤモヤしなくて済むのにって残念に思ってしまって満点を付けられませんでした。

 ついでに、今回は脇役でほとんど登場もしないけど、前作のヒーローとヒロインであるセントヴィンセントとエヴィーのラストでのやり取りにはたいへん萌えさせていただきました。

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