第161.『右四つ』からの『送り倒し』
「フハハハハハッ!」
突然浴槽の中で不敵な笑い声を上げ始める俺っ!
傍から見たら完全に頭のイカれたヤツに見える事だろう。だけど、この心の奥底から湧き上がる『歓喜の波動』をどうしても抑える事が出来なかったのさ。許してやって欲しい。
だって、それはそうだろう。
思いもよらず、こんなに
「ハハハっ……うっ!」
ちょちょちょ、ちょっと待て。今はマズい……。
そう言えば、俺は今リーティアに見られている事を完全に失念していた。これは非常にヤバい。
――プクプクプク……。
俺はその場を取り繕う様に笑顔をかみ殺しつつ、顔半分をお湯の中へと埋没させる。
リーティアの方も、突然笑い出した俺を、ちょっと訝しそうに見ているみたいだ。
いやぁ、やべぇ、やべぇ。
何しろ、これから一緒のお風呂に入る女子に向かって、湯舟の中から男子が爆笑していているなんて、恐怖以外の何物でも無いからな。しかも、その男子は、どうやって、彼女のパフパフを堪能しようかと虎視眈々と狙っていると言う状況だ。感覚的には、オオカミの檻の中に入ろうとしている『うさぎたん』に向かって、オオカミが高らかに笑っているのと同義だ。そんな様子がもしバレてみろ。決して『うさぎたん』は、
いやぁ、しかし、こんな大事な事に気付かないとは、俺とした事がどうかしていたよ。
人生初の美少女とのお風呂……と言うシチュエーションに舞い上がっていたみたいだな。
◆◇◆◇◆◇
作者からの連絡:主人公が小学生の時にアル姉達とお風呂に入っていた事は、彼の中で記憶の外なので、ノーカウントとなっております。詳細については、「慶太くんの夏休み」もしくは「僕、高橋慶太11歳。童貞ですっ!」をご参照下さい。
それでは、引き続き、「プロピュライア」をお楽しみ下さい。
◆◇◆◇◆◇
つまり、こういう事さ。
もう一度彼女を『ぎゅー』っとする時のシチュエーションを思い出して欲しい。
そう、――湯舟のなかで、ほんわり桜色に染めた頬とうなじ……そこで、少し恥じらいながら、俺に背を向ける様にして、そっと濡れた手でうなじの後れ毛を直す彼女――
ハイッ! ココ、ここ大事だよ。
彼女はどうしてましたか? はい、どうしてましたか? 何っ? 何だって、いやいや「知らねぇよ」じゃ無くって、どうしてましたか? って俺が聞いてるんだよ馬鹿野郎ぉ! ……あぁ、すまん、スマン。ついつい余りにも重要な事だったんで、エキサイトし過ぎてしまった様だな。謝るよ。
つまり、彼女は俺に背を向けた後で、自身の右手でそっとうなじの後れ毛を直しているんだよ。つまりだ! この状態の彼女の右脇の下は、非常に、あぁ、とんでもなく非情にっ! 無防備な状態になっていると言っても過言では無い。
ここまで話せば、童貞の諸君は既にお察しの事だと思う。
えぇ? まだ分からないって? はぁ、これだから童貞フライト時間が一万時間にも満たない、初心者童貞は御し難い。
後ろ向きで、しかも右手はそっとうなじの後れ毛を直す為に持ち上げる彼女。もちろん右腕の肘からは、ポタポタと温泉のお湯が雫となって、水面に落ちていると言う場面さ。
そっと彼女の背後に近づく俺。
ただ、ここでも急な動きは禁物なんだけど、普通と違うのは、ここは一緒のお風呂の中だって事なのさ。何しろお湯の動きで、おおよそ後ろの人の行動は察知できるはず。つまり、何気に俺が背後に近づいてくるのをリーティアは
ただ「親しい中にも礼儀あり」と言うからな。
まずは彼女の耳元で、こう囁く訳だ。
「綺麗だよっ、リーティア……」
すると、彼女はその状態で、『ふっ』とその手を止める訳だ。もちろん、右手はうなじの位置に置いたままだぞ。つまり、この状態で、彼女は玄関の『鍵』は開いてますよっ! と言う意思表示をしてくれると言う訳さ。
そのまま無言の彼女……。
もちろん、彼女は自分が綺麗な事なんてわかってる。しかも、ここで四の五の、返答をする事自体、非常に野暮である事は百も承知さ。つまり、この無言こそが彼女の「Yes」なんだよ。
そこで、俺は遂に彼女の本丸へとおじゃまする事になる訳だ。
もちろん、入る時にも挨拶は欠かせない。
「リーティア。もう、君を離さないよっ……」
そう告げると、俺はそっとお湯の中の両手を、彼女の脇腹あたりから近づけて行くって寸法さ。
さぁ、ようやく重要なポイントに近づいたぞ。そう、この時彼女の右手はどの位置かな。……そう右手はお湯の外に出ていて、無防備な右脇の下が露わになっている状態だったよね。と言う事は、俺が抱き締める彼女の外周は、90cmのトップバストに、彼女の
さぁ、残りの長さは何センチになるかな?
……そう! 正解は67.5cm。
はうはうはう! 十分。十分な長さが確保できると言う訳だ。そうすると、俺の両腕は彼女の胸の前で十分に交差され、更に17cm前後の余力が生まれて来る。これだけあれば、俺の右手は彼女の左の玉座に、そして俺の左手は、彼女の右の玉座にしっかりと収まる事が出来るに違いない。
はぁぁ、やったよ。やっちまいましたよ。ついにこの時が訪れました。
俺は十分な余裕をもって、彼女のパフパフを楽しみつつ、そのまま、彼女に愛の告白をするも良し、場合によっては、彼女の
あぁ、この世の贅沢、ここに極まれり。
相撲で言う所の、背後からのがっぷり『右四つ』の状態だから、『送り倒し』や『送り投げ』を決め放題だ。 ――まぁ、背後に回った時点で『四つ』とは言わないのかもしれないので、その辺りは手近な所にいる相撲ヲタクに聞いてくれ。
よぉぉし、戦略と基本戦術は確定した。後は
そこで、俺はリーティアの様子をもう一度確かめる。
俺が急に笑い出した時には、少し訝しそうにしていた表情も既になごみ、今は柱の陰から俺の事を微笑みながら待ってくれている。
「はぁぁぁっ! あれはっ!」
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