行き当たりばったり奇文

エホウマキ

episode1 ショッキングピンク海の決戦

 目の前に広がるは一面の海。しかし色は何故かショッキングピンク。

海風に吹かれて熊のぬいぐるみが舞い上がり、それをトンビが捕まえてオゾン層まで飛翔した。

 一方その頃NASAは上に下にのてんてこまい。土星のリングが二重になり月のウサギはステルス戦闘機に変形し、地球への侵攻を開始したからだ。

これらに立ち向かうはご存知我らのマッサージイス。立て看板を両手に携え次々と月からの刺客を撃ち落としていくが、そこに熊のぬいぐるみをブラ下げたトンビが通りかかった。そのとき、KFOMの法則※1により海底より超時空マグロが襲来する。

 超時空マグロが現れたことにより次元の法則が乱れ、ブラックホールとホワイトホールが地球を包みこむ。それが良い感じにバリアになり、成層圏にいたウサギは一掃された。

 しかし太陽の光が一切遮断、もしくは極端に増量され地球の命は風前の灯火と化した。

この事態をどうにかするには超時空マグロをツナ缶にするしかない。続々とニ〇レイツナ缶工場が海に放りこまれたが、ダイバースーツを着用していなかったため全て水圧でペチャンコになった。

 一方その頃、超時空マグロはどこ吹く風よと優雅に深海を泳ぎ回っていた。

超時空マグロは基本的につがいを必要とせず、分裂することによって種の存続を図る。しかし恋をしないわけじゃない。現に目の前のタ〇タニック号に一目ぼれしている。

超時空マグロは押せ押せの猛アタックをした。だがそのアプローチはタイタ〇ック号には不正解。〇イタニック号は優しい大人の男がタイプだったのだ。世間を知らない女々しい超時空マグロは大人の男になるべく、タツノオトシゴLv2に弟子入りした。だがそれは遠洋漁業組合所属サイボーグ漁師ジローが用意したリーサルウェポンのAIルアーだったのだ。

油断した超時空マグロはまんまと針に引っかかってしまう。超時空マグロは次元スリップを駆使して逃れようとするが、周囲には既に次元固定杭が打たれている。

サイボーグ漁師ジローと超時空マグロとの地球の命運をかけたフィッシングバトルが今始まる。

 それを遠めに見ていた月のクイーンこと輝夜姫は今になって地球人も性根の悪さに腹を立て始めた。ダブルホールバリアを突破するトロイの木馬的解決法を思いついた輝夜は昔話プリンセスホットラインを使い、竜宮城の乙姫へと連絡をとった。

チャーハンを作っていた乙姫は輝夜姫の作戦に了承。フルメタルリュウグウノツカイを地上へと出撃させる。

 ジローと超時空マグロのフィッシングバトルは苛烈を極めていた。200万Vの電流、5000発の魚雷、無数のモリを持ってしても超時空マグロはダウンしなかった。超時空マグロは圧倒的スタミナ、メガトン級の重量、そして恋路を邪魔された怒りのパワーで激しく抵抗した。

これがただの漁船と漁師なら一瞬で消し飛んでいたことだろう。でもサイボーグ漁師なら大丈夫。漁船は素材に輝夜姫が生まれたとされる竹の葉をかちかち山の泥で繋ぎ、ついでに戦艦ヤマトとナガトのニコイチ戦艦ヤガトをくっつけている。

ジローも人間性を捨て両脚を錨、両腕を仕込み釣竿にしている。

 激闘の海域バトルフィールドに入りこむ余地はないと思われたが、そこにマッサージイス、フルメタルリュウグウノツカイ、トンビwith熊のぬいぐるみが乱入し、地球どころか宇宙がヤバい。

 最早この地獄は止められないのか。このまま世界は終わってしまうのか。誰もがそう思ったとき、メスシリンダーとオスシリンダーの相の子、封印用三角フラスコが割れ、原子パワーの申し子プルたんが世に放たれた。

プルたんの特性は全てを無に帰す原子崩壊。この力に抗えるものは誰一人としておらず、超時空マグロとサイボーグ漁師ジロー、フルメタルリュウグウノツカイとマッサージイス、トンビと熊のぬいぐるみは塵と化した。

 人々は安堵したが、人の思い通りに動くようならプルたんは封印などされていない。とどまることを知らないプルたんは全ての生命体と物体を塵に変えた。

砂漠が出来上がったところでプルたんに睡魔が襲い掛かる。抵抗することなくプルたんは砂をベッドにして夢の世界へと旅立った。

 ところで何故海がショッキングピンク色であるのかお分かりであろうか。

その答えは何故水が水色なのか。何故血が赤いのか。何故世界はカラフルなのかが分かれば自然に分かることだ。それを分かろうとしない探求心の無いかたに言えることは唯一つ。色はR、G、Bの割合によって決まるのである。



※1:KFOMの法則…正式名称風が吹けば桶屋が儲かるKazegaFukebaOkeyagaMoukaru法則。通常起こりえないシチュエーションがトリガーとなり予測不可能な圧倒的脅威、もしくは不相応の恵みがもたらされる現象。














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