氷瀑の瞳孔

水牛掴み取り処理場

序:サブテラニアン

たかだか歯医者に行くのを嫌がるような餓鬼一人に首を絞めるような真似をさせるよか、鳥に死骸を啄まれるまで放って置けば良い。とは言えバターナイフでピーナッツペーストを掬うほど軽く、黒ずんだ雑巾を絞り切る老婆より弱々しく、鴨の羽をぶち抜くほど勢いよく生を散らせるものか。まだ凍てつく地を踏ませてやれ。まだ赫い鉄を肌に打ち付けてやれ。まだ機能する髄を噛み切ってやれと足元を汚く這いつくばって蠢く本能は叫ぶだろう。例えば凶器を振り回して行きずりの人間を切り殺して回ったり、舎弟の眼球に煙草を擦り付けるだけが日本人の仕事ではないし、群がる腐りかけの生き死体に向かってライフルの引き金を引いたり、巨大な架空の怪獣怪人宇宙人に踏み潰されそうになって変形ロボットに救われるだけが米国人の仕事ではないし、シャツを着た男と煌びやかな装飾を施した女が只管に踊り狂うだけが印度人の仕事ではない。だがそれほどに人の脳味噌に住む「偏見」という、強く根を張った寄生虫は奇妙奇天烈で、時に得もしないはずの情動を発し理性そのものを食い殺してしまうのだ。今こうして描かれているエピソードでさえも、頭蓋に響く頃にはその意味をこの生き物に食われてニューロンに電気信号だけが残るかもしれないのである。その意味で言えばあの嫌々な餓鬼は、それ程に滑稽で醜く、そして苦悩に肥えているように「偏見」は語る。そしてそれは徐々に、現世から道徳法則を奪いつつあることに気づいている人間は、果たしてどれほどいるのだろうか。

————少なくとも、君には一生解って欲しく無い。


いつだって気味の悪い陽炎がこちらを睨んでいるのを感じる。街中に設置された柱の頭には暖かな炎が金網にくるまれて、人々へと熱い視線を送っているのだ。木の棒のような男がマフラーごと突っ込んでいこうとして火の粉を被りそうになったぐらいで、危なっかしさよか頼もしさの方が勝っているのであろう。とかくそれに頼ろうと術探りに走る程の私はこの寒い雪の時期というものが至極厄介で酷く不愉快で仕方がなく、今だって薄い肌着を数枚重ねにしてコートを羽織り歯を小刻みに食いしばり歩いている。人々は足元の水の凍り固まったこれをガラス細工だのなんだの目やにの酷そうなトチ狂った物言いで比喩するが、あたかもそれが正当のように振舞う情勢こそ今最も蝕まれたものだと思いはするものの、これを言ったところで非人扱いを食らい殺されるだけである。

山の土地だ。雪に覆われた田舎の舗装されていない道は酷く荒れていて、都会の瘴気で荒み切った鼻腔の私には美徳のにおいなどぴくりともしない。面倒に滑りやすくなったブラックアイスバーンを踏みしめて、時折足を滑らせながら歩く。途中の狭い漆黒の岩壁に阻まれ、鼠が這うトンネルを抜け、かくしてようやっと見えた明かりは白く、腕には霜が降り私の腕を食らい、眼球に朧げにイドラをちらつかせる。ぽたぽたと這い寄った冷たい小言のような雪は私に「足を止めて潰えるように」と囁いてくるがそれは全くと言っていいほどに鼓膜に伝わらず、目的地へと向かう私の揺らぐ足取りを真っ直ぐに出来る限り近づけるだけである。裾を濡らしながらようやっと見えて来た旧い木造建築の民家は朽ちた木々に覆われて、周囲にはそれ以外のものを完全に隔絶したように冷たい雪と氷板だけが被さり、他がどうでもよくなったように向こうの山だけの見つめていた。私が目指していたのは、この古臭い家だった。

————齢にして十九。まだ若くして、それでいて旧い年代の私に突き付けられた題目とは、その細い肉体にはさぞ不向きだっただろう。

独りでに開く玄関扉の奥で、一人の老婆が立っていた。

「おや、いらっしゃい。ようこそおいでなすったね」

彼女こそ、今回依頼された人間だった。


冷気の蔓延る凍を食んだ、大層な一軒家に住んでいる癖にその中身といえば殺風景で、こんな辺境の地で何を楽しみにしているのかと思えば、二階にはこの老婆のアトリエらしきものがあった。淡い蜘蛛糸が隅に張って露を呑み、灼けるような木の床を鎮める絨毯の柔い棘が彼らの八本脚に絡みついて苛立ちを増す。欠伸のパレードが老婆を襲い、皮殻の凱旋に蜘蛛は踏み殺されて散ったことに老婆は気も付けない。

アトリエは異空間で、アトリエは時空で、アトリエは祭壇。異質な冷気を噛む老婆の瞳孔が、そうあるべきなのだと告げている。本当にその言葉を言っているかどうかは重要ではなく、そう感じたことこそが本質的に重要視されるべきなのだ。その老婆の作品とやらは、恐らく神秘的でいて芸術的でいて至高のものなのだろうが、私にはその良さというものがいまいち理解が出来なかった。額縁の一つを掴み上げて老婆は言う。

「何事も辟易しては成らず。今は亡き者の師が残してくださったお言葉です。彼は太陽のようなお方でした、とても大きく寛大で素晴らしく、私の絵を見て真っ直ぐに褒めて下さる、理解と教養のある方なのです。彼が死に、旦那に先立たれてからはこれも中々、価値なきものと化しはしましたが、ほうら、貴女というひとがいるせいで生き返った。ご覧あれとはこのことです」

何も描かれていない白紙を絵と言い張る老婆は微笑し、額を弱々しく摘み上げてそれを私の眼前に持ってくる。

「意思とは見方によって有無が変わるものですから、貴女には見えていらっしゃるのでしょう。この生は息吹くのですよ、ねぇ?」

「よくわかりません。他には描いたものはありませんか」

老婆は眼球をぎちぎちと見開いて、すぐ閉じて。話さない黙した怒号が凍る無風で私の髪を靡かせると、老婆は後方部にあるまた別の額縁を持ち出して、また微笑み私の方に顔を向けている。絵には何か、しゃがれて歪んだ真鍮の天秤のような何かに、腐った林檎が乗っているように見える。私はそれを見た感想を求められた。

「これは? 何かの模写とか、それともパロディーとか何かですか?」

老婆は、答える。

「芸や美とはいつだって世界のパロディなのです。模造品で満ち溢れに溢れて、そらもう狂い殺し。貴女。それを理解しましたでしょう? 理解概念と炎を理解しましたかね? ええ結構。私が描くのはいつだって! そう模造。既に表象した世界の深淵に切り込んで新たな歪みと矮小な言語を塗り込む作業の繰り返しこそが絵画であり、そして且つ芸術の最小単位だということなのです。師匠はそれを解っていらっしゃいましたし、旦那も死ぬ前にはその性質に踏み込んでいましたからね。そして今に見る非人類とはその根源を教育されていないのです! これは常に痛く付き纏う事実にして人の心が貧しくなりやがて獣のようになってしまう遠因でもあります。阿呆のためにつけてやる薬などありはしません! 貴女も、ええ。そういう顔付きでいらっしゃるなら、まぁそうですか」

その老婆は不満気だ。私は依頼された身というのに何故こうも図々しくしていられるのか? 私の方が不満だろうがそこは堪えねばあるまい。喋り方のメッキも剥がれてきた老婆は次々に自分の中に眠る美の性欲を剥き出しにして、鉤のある言葉を少しずつ、痰を絡めるように吐きつけては、私に負荷をかけていくのだ。そして老婆がようやく落ち着いた時には既に次の絵画を見せる準備をしていた。

「これは、ほら、光る人形が見えるでしょう」

また、白紙の絵。凍る眼で私は語る。言語は必要無い。

「では、こちらは。お恥ずかしながら、自画像ですが」

彼女が自画像だと語る絵画は異様なまでに写実的な翠の眼球で、それも人の瞼を切り取ったというよか解剖学の文書でのみ見られるような神経まで切り出したような、まさに「眼」であった。

「自画像? どこがです」

「私は地球の眼なのです。あらゆる星を見て、インスピレーションを得る。素敵なことだと言ってくれた、元は旦那の趣味でして、私がそれを世界に落とし込むことこそが、至高の悦びだと考えていたのです。つまりこれは私なのです」

「さっきから思っていましたが、私が言うのもなんですが貴女はかなり独特の感性をしていらっしゃる。その才を見せびらかしたいのも勿論分かりますが、私としては今いち説得力を欠いているように思えてしまいます」

「そうですか。では少し見てほしいものがあります。しばしお待ちを」

老婆はアトリエの奥の棚から、それはまた古臭い木箱を取り出して、私の前に持ってくると、その場に屈んで俯き始めた。

「これをご覧になってください」

老婆の右目玉が、彼女の掌に転げ落ちた。

「義眼でございます。本物は、こちらに」

空いた木箱の中からは薬品に漬けられた眼球が入っており、私はそれを見て初めてこの老婆の技量の信たるかを解すことができた。この老婆の言う通り、彼女は「眼」だった。事物の本質を、矮小な言語に塗り固めているというその感覚を、少なくともその玄関口には立つ感覚を今肌で実感していた。ただそれが真に、私にそう強い影響を与えうる存在かどうかなどは解らない。だがこの老婆の思想を完璧に理解することは即ちそちら側に行ってしまうことを意味するのは、容易に想像がついた。

「恐れ入りました。しかし何故義眼を」

「元々、一対だったのです。私と旦那、二人の右と左の眼を、互いにこの場に預けて、生きたままそのかたちを保つようにして、永遠を誓おうと。ただ旦那はどうしても一緒に燃やしてくれと頼むものですから、それで私のもののみ現存しているのです」

「それで、これを旦那を思いながら描いたと?」

「ええ。故にこの眼玉は、私なのです」

恐らくは常人に理解し難いと思しき感性を手に入れてしまった者。この老婆もその一人だろう。一度人を食った哲学や概念観念は恐ろしいもので、こうやって一度狂気に踏み入ったものをごく自然にしてしまう。かくいう私だって、恐らくはそうだ。たった十九年の間にこういうひとを何度も見て来た。だからこそ何か引っかかるものが、この女にはあるのだ。

「……では、そろそろ本題に移りませんか」

「本題ですか」

「元はと言えば貴女が言い出したことです。契約が果たされなければ私は戻れませんから」

「では、出ましょうか。試すには良い場所があります」

老婆は私の手を引くように、階段を降りてアトリエを出ていく。手には眼球の木箱が握られたまま、私を導いていた。


家の奥の蔵からカンテラを取り出してきた老婆は、特段暗くも無い昼の雪間なのに火を灯し始めて、家の更に向こうの山奥へと私を案内する。

「これはね、心の有り様なんですよ。大事なのは明るさよりも、その根源の温かみの方なのです。ほら、お星さまの導きが、醒める在処をあちらの山へと嘆いている。糞尿のような貴女のと私の美しさを、彼を持って思い知らせるのです」

「成程」

何が成程だ。


二時間ほど歩いていくうちに山間部の中腹辺りにやってくると、流石に景色も変わってくるものだ。枯れ木に雪が積もり死を思うさま、息吹きというものとはそれは無縁に見える。

軈て覗いたのは、時の止まった川と、その上で銀幕を垂らす氷瀑であった。フェンスも何もつけられず整備されていない完全な自然のままで残ったそれは、死んでいるのではなく生きたまま停まっているのだ。老婆はその上部まで私を案内した。

「ここが、私の選んだ『場所』でございます」

「酷い寒さですが、何故わざわざここを」

「細かいことはいいんですよ。理屈どうこうでは語りつくせないことは話した筈。それにここは、旦那に一番近い場所なんです。だったら、あっちですぐに会えるじゃあないですか」

達観したケースというのも、あるものだ。私はあくまで事務的に対応することに尽くす。

「……そろそろ」

「ええ」

老婆は止まった川の上を歩く。銀幕を見下ろせるぐらいの淵から、白い世界を見下ろして。両手を横に真っ直ぐ空に磔にされた様に広げると、木箱を開いて液に浸された眼球を毟るように掴み、それを口に含みぐちゃぐちゃにして、白目を剥きながら天を貫く程の大声で叫んだ。

「天の人類に美徳を知らせた者どもに鉄槌を!地の人類に喝采を与えた無法者に死を!天の人類に美徳を知らせた者どもに鉄槌を!地の人類に喝采を与えた無法者に死を!天の人類に美徳を知らせた者どもに鉄槌を!地の人類に喝采を与えた無法者に死を!天の人類に美徳を知らせた者どもに鉄槌を!地の人類に喝采を与えた無法者に死を!天の人類に美徳を知らせた者どもに鉄槌を!地の人類に喝采を与えた無法者に死を!天の人類に美徳を知らせた者どもに鉄槌を!地の人類に喝采を与えた無法者に死を!天の人類に美徳を知らせた者どもに鉄槌を!地の人類に喝采を与えた無法者に死を!天の人類に美徳を知らせた者どもに鉄槌を!地の人類に喝采を与えた無法者に死を!天の人類に美徳を知らせた者どもに鉄槌を!地の人類に喝采を与えた無法者に死を!天の人類に美徳を知らせた者どもに鉄槌を!地の人類に喝采を与えた無法者に死を!天の人類に美徳を知らせた者どもに鉄槌を!地の人類に喝采を与えた無法者に死を!天の人類に美徳を知らせた者どもに鉄槌を!地の人類に喝采を与えた無法者に死を!天の人類に美徳を知らせた者どもに鉄槌を!地の人類に喝采を与えた無法者に死を! オゲェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!」


老婆は満面の笑みで氷瀑に飛び込んでいった。鏡の割れる音がして、それっきり雪は無味無臭になった。私は携帯電話を取り出して、連絡を取る。

「もしもし……はい。今終わりました。依頼料は自動徴収されます。ええ。きっと気にいる方がいることでしょう。それでは」

軈て雪は融け、老婆は記録すらされないだろう。君の眼球も、いつかこうやって虚妄の狭間を見る。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る