7月23日(金) 広島市南区的場町にある朝ごはんカフェ「Cafe Igel あかいはりねずみ」でランチする。

広島市南区的場町にある朝ごはんカフェ「Cafe Igel あかいはりねずみ」でサンドウィッチを食べる。


東区民文化センターへ行くので、途中の「Cafe Igel あかいはりねずみ」に寄った。


毎日行列のできる店ではないが、日と時間帯によっては混み合い、座れるのは4席と多くないのでタイミングの合わない時は入れないこともある。冷房に汗腺の閉じられた体で自転車を走らせて来れば、運良く入ることができた。


家に持って帰ってこない食材によるサンドウィッチで、今の季節に合うものと考えて、カリーブルストパニーニに決めた。数年前に旅行した写真をインスタグラムに継続して載せている自分は、旅程が終わる予定は20年後のペースで現在ウィーンにたどり着いたところだ。その作業の為にアルバムを見返していると出店のスタンドが美味しく写った。カリーブルストはベルリンこそ有名だが、レバーケーゼやソーセージはウィーンのトラムの駅の近くにあり、おいしそうに眺めた記憶がある。


このチョイスは間違っておらず、カレー粉が漂うサンドウィッチは焼けたパニーニの表面に刺さる歯の食感がとても心地よい。がぶりとする中には「Glücksschwein(グリュックスシュバイン)〜しあわせのぶた〜」さんのソーセージが刻まれて入り、噛んでいると写真のイメージに触発された食欲は昔の記憶へとつながる。


それに合わせたサラダは量がたっぷりとあり、申し訳ばかりの皿と異なるオレンジや紫が混ざって色鮮やかだけでなく、がつがつと食べることができる。それに市販ではないドレッシングは強く主張せず、ぶつ切りのキュウリは他の店にない無造作な形だからこそ美味しく口にできる。


こうなるとデザートも食べたくなる。ザッハトルテはウィーンに合うだろうが、シロップの染みた具合がどことなく中東地域を感じさせるブルーベリージャムのアーモンドケーキを食べた。もちろんトルコマーケットが長く賑わい、オスマンからの影響を直に受けた歴史あるウィーンだから、フランスやイギリスと異なるオリエントな蜜の味わいは調和する。


開けっ放しの扉からは電車通りの日常の音が入り、陽光はまさに夏の思い出として子供心を引っ張り出す輝きだ。閉じこめられた冷房の無機質な空気とは異なり、どことなく昔の日本やアジアらしい季節感を持ったこの店の空気は、人と人が分け隔てなく会話できる机と雰囲気があり、交流こそ国と文化の根本として土台にあるようだ。とはいっても、透明なしきりがきっちり今を区切っている。


もっと自宅の近くに店を開けばよかったのに。毎回そう思ってしまう親しいが外向きな「Cafe Igel あかいはりねずみ」だ。

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