4月5日(月) 広島市中区本川町にある書店「READAN DEAT」で「及川静香 マメイケダ 二人展『似た者同士』」を観る。

広島市中区本川町にある書店「READAN DEAT」で「及川静香 マメイケダ 二人展『似た者同士』」を観る。


食絵と食器のコラボレーション展示があると聞いていたので「READAN DEAT」さんへ足を運んだ。


及川静香さんの器か、それともマメイケダさんの絵か、どちらを先に観るか考えてから手当たり次第に触った。なめらかで金属らしい器肌の軽い物があったり、パイを焼くのに適したような土の分厚い刻み目のある器もあり、焼き締めらしい地肌もあれば、厚い鉢に分厚いガラス質の釉薬が輝いている作品もある。


絵はキャンバス地ではなく板に直接塗られているようだ。遠近感や色彩による立体感よりも、やや荒っぽくも見えるクレパスの線はいくぶん平面に料理を置き、器を立てた作風よりも、置いてあったマメイケダさんの絵本で見るような率直な印象が描かれていた。格別に臭いや食欲を増すような効果よりも、日常にある料理が子供の目線のようにありのままにある。


それから絵と器を見比べる。鮮明に描いているわけではないのですぐに一致せず、ラムチョップの器や柿の葉すしの平皿はわかったが、あとはよくわからなかった。それでいいのだろう。わかる必要はなく、二人の共同をただ観れば。


とはいえ物欲はすこぶるわき上がる。銅のような肌触りと判別できない緑とも青ともみえる焼き色が気に入ってしまい、4個あるぐい飲みを所々触って観て、悩む。そこに柿の葉すしをのせた平皿も加わり、一品選ぶ難しさに右往左往した。


結局見込みの焦げが気になったぐい飲みを選ぶ。ゆがんだ口縁に米でも盛ったほうが似合いそうな高台に、水をすこし漏らしそうな土の素地とも釉薬とも判別つかないざらつきが胴に表れている。綺麗とはいえない少し不細工な風情に惹かれるのは、自身をそこに投影するのか、それともないからこそ求めるのか。


どちらでもいいが、絵のおにぎりも焼おにぎりも美味しそうだ。それに店主さんは、植物のような色合いの器に麻婆豆腐を盛るのが好きらしい。

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