4月4日(日) 広島市中区中島町にある公園「平和記念公園」のチューリップの花壇に座る。

広島市中区中島町にある公園「平和記念公園」のチューリップの花壇に座る。


昼から飲み続ければ、気分の浮き沈みが激しいものであっても、心地良さはないわけではない。「マスクをしなさい」と二度叱られた最近であっても、夕刻の風の強さに撃たれれば外したくなるものだ。ましてや人もまばらな平和記念公園となればなおさらで、西洋風のイルミネーションが輝かしい店を過ぎて橋を渡れば、つい欲に任せて口をさらけ出してしまう。なんてかぐわしい春の香りが蔓延していることか。


すれば座りたくなる。今年もチューリップは満開となり、桜の花と一緒に楠の葉も落ちて、木々は輝かしい新緑を見せている。柳も銀杏も明るかに、曇る夕空の中で小さな若葉を点描している。


音楽はグラズノフの交響曲第一番で、15歳の早熟が生んだ春の風は個人の意識をたやすく飲み込んでしまう。しょせん人の気分など一過性の現象でしかなく、音楽や風、それに花の香りと色彩が加われば、どうしたってロマン的な叙情に染め変わるしかない。


風は落ち葉を転がして吹き溜めていき、冷たくあっても外にいることを妨げず、ただただ酔いに任せて内的世界に吹きまくるのみだ。

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