4月3日(土) 広島市中区土橋町にある洋食店「広亭たなか」でランチする。
広島市中区土橋町にある洋食店「広亭たなか」でランチする。
土曜仕事の十日市再訪は「広亭たなか」さんにした。
振り返ることをしなくても十日市エリアは食事どころが多く、予約でないと入れないフレンチやイタリアンもあるが、気が向いて足を運んでも食べられる昔からの中華や洋食もある。
若い人や年輩の方だけに偏らない客層は「桂蘭」にやや似ている。待つことなくカウンターに通してもらい、新人もベテランも一緒に働く賑やかな店内で、疲れ目を休めるべく瞑りながら食事した。「あらこの人、瞑想しながら食べているわよ、気色わるいわね」なんて思われそうだが、視覚がなければ味覚は輪郭を増し、聴覚も実態を持って聞こえてくる。火を使って鍋を動かす音や、食事の配膳を指示する声だけでなく、足の悪いおばあちゃんを手を引く女性や、食事後に動物園に行くのだろう「動物園、動物園、動物園」と連呼して午後を期待する子供の声もある。老若男女が憩う昔ながらのレストラン風景があり、だらけない規律で守られたサービスはよく目が配られている。自分勝手にルールを好み、都合良く無視する自分からすると、きびきびと働く姿を耳にするだけでもランチタイムの心地よさを感じる。
スープは甘みとどことなく酸味も錯覚する野菜エキスたっぷりのとろっとした舌触りだ。サラダのドレッシングは油と酢が爽やかだ。エビは天ぷらやフライと異なる舞い上がらない旨味で、表面の締まった中にぷりっと身が膨らみ、繊維もしっかり噛んで楽しめる。ソースはトマトとタマネギがわりとあっさりしていて、重いオイルや派手なコクはなく、イタリアンパセリが苦みを鮮鋭に見せてくれる。
デザートはババロアで、何の味かわからないが、「ああ、ババロアだ」と思い出させる甘い風味があり、チョコが綺麗に溶けていく。それにほんのわずか雑味を持った風味のうるさくないコーヒーがよく合う。
伝統は味だけでなく、働き方と教え方も含めた店全体に行き渡っていると、快いサービスに和む昼となった。
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