3月14日(日) 広島市中区袋町にある立ち呑み店「キッチン福本屋」で飲んで食べる。
広島市中区袋町にある立ち呑み店「キッチン福本屋」で飲んで食べる。
前日が休みなら、昨夜に休みはやってくるのだが、日曜だけが休みなら、今夜が週の休みとなる。
「キッチン福本屋」さんに寄れば、目抜き通りの角をを支えていた人がいる。ここで一度会ったことがあるにしても、たまにしか来ない自分とは異なる常連さんだったはずだ。
大分の豊潤と兵庫のkakoyaを飲んで、サーモンのミ・キュイとどて串を食べる。濁りと微発砲を持った米の味と、さわやかできりっとしまる純米酒だ。表面がソテーされたように半生のサーモンは脂ののった滑らかな舌触りで、ニンニクかチーズかねっとりしたタルタルソースが合い、ピーマンらしい風味とタマネギの酸味がとてもあう。お店の再開からどて串を食べていなかったら、挽き肉まじりのトマトソースに変わってこれまたとてもおいしい。
旨い物を食べて酔って帰れば、耳にはストラヴィンスキーの「春の祭典」が流れる。本川は穏やかな時間にあってゆるやかなゆらぎで夜の空を川面に反射している。リズムの躍動はまだうすら寒い春を先取りするようで、屹立した音の進行は自転車を馬に変えて夜の広島市内をすっくと走らせる。
影を抱えるしかなかった女優が今日の映画のアフタートークに語られれば、自分は陽ばかり抱えてときたま陰に落ちては、すぐに戻るのだろう。苦しみなどとは決して呼べない一時の限りが力となって人生に一味を加えるように、時間は必ず回復に戻して今日の夜に意気を吹き返すものだ。
それが酒の効果だ。走るバスも路面電車も力となる、そんなぶり返しが明日を支えるのだと、弱った次の日にきせいをあげるのだ。
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