3月14日(日) 広島市中区八丁堀にあるステーキ店「ボトムステーキ 広島八丁堀店」で赤身ステーキランチを食べる。
広島市中区八丁堀にあるステーキ店「ボトムステーキ 広島八丁堀店」で赤身ステーキランチを食べる。
肉が食べたい日もあれば、そうでもない昼もある。腹に優しい蕎麦でも食べようと考えていたら、昼の上映が近づいてせっぱ詰まり、モスバーガーで軽く済ませようと自転車をとめると、なぜか「ボトムステーキ 広島八丁堀店」に入ってしまった。
煙がこもる店内に入り、肉の香りに燻される。前来た時はたしかカットステーキを食べたので、今日は赤身ステーキにする。
モスバーガーの店内で自転車を見張りながら食べようと思っていたので、駐輪所に車輪をはめ忘れたことに気づき、撤去されないかとそわそわしながら食事することになった。
ステーキはすぐに運ばれてきて肉汁が鉄板に焼かれて音を立てるパフォーマンスに気分は盛り上がる。赤身たっぷりの肉はとても柔らかく、上品で繊細な味よりも、脂を含んだ肉汁を口一杯に広げるにくらしいおいしさだ。この価格でモヤシやトウモロコシ、ブロッコリーもついているのだから手頃な値段だ。それにスープはステーキ店だけあって牛肉の出汁がきいている。
いそいそ食べていると、向こうのテーブルに座る家族が残った料理を持ち帰るように頼んでいる。すると年配のお父さんが「大将、このごはん、おにぎりにしてもらえない」と口にする。最初は「えっ、おにぎり」と頭の中で自分は思ったが、「悪いね無理言って、すまんな」とお父さんは続け、その口だけでない言葉に心情が含まれていたのもあり、お店の人は承諾していた。
ふと落語家が話していた、居酒屋なのに熱燗はできないと押し問答を繰り返したマクラを思い出した。
コロナウィルスが流行する前から衛生面を気にしておにぎりを食べられない子供がいると聞いたことがある。実際に知る人でも他人からの食べ物に決して口につけない大人もいるから、個人営業ではないステーキ店でおにぎりを握ってもらうのは非常識かもしれない。けれどそんな非常事態を客も店も小さな子供の為につなぎ、ただ残して捨てるのではなく、ごはんでさえも持ち帰る心意気が嬉しくなった。
自分の常識が非常識で、他人の非常識が自分の常識と感じることは、プライベートで会わない人ほど目の当たりにする事だ。昨日強く感じたズレはそんなところにもあるのだと、昼の一風景がとてもうらやましくなった。
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